海辺のポーリーヌ(1983)
PAULINE A LA PLAGE(1983)
監督:エリック・ロメール
出演:アマンダ・ラングレ、アリエル・ドンバールetc
評価:70点
夏だ!ってことでエリック・ロメールの『海辺のポーリーヌ』を紹介!
、、、というのは後付けで、実は妹が大学の夏休みのレポートで本作について4千字書くというから、買ってあげました。なんてシスコンぶりなのだろう。それにしても、てっきり観ていると思っていたら、学生時代、授業で一瞬観ただけで、全編通して観たのは初めてでした。果たして…
『海辺のポーリーヌ』あらすじ
避暑地のノルマンディー。親戚のおばちゃんに預けられた少女ポーリーヌ。彼女は、恋が渦巻くノルマンディーで何を想うのだろうか?ロメール、ジャック・ロジエ意識しているでしょ?
まず、今回観て気がついたのは、明らかにエリック・ロメールはジャック・ロジエの『オルエットの方へ
』を意識して撮っているということだ。
海辺をキャピキャピ走る女の子に、ヨットマン、そして出会いなんか気にしていないように見えて、実は「恋したい」と内心思っている女の子たちの心の揺らぎ。そして、それによる軋轢。ロメール独特の哲学性、癖こそあれど、これは『オルエットの方へ』のリメイクなのでは?と思う程酷似していた。
とはいえ本作は、『オルエットの方へ』以上にドロドロで、テラスハウスに近い本音と建前の世界が繰り広げられている。
フランスでは、バカンスの文化があり、1ヶ月近い大人も子どもも休む。親は平気で子どもを親戚に預け、自由きままにバカンスを謳歌したりする。本作では、美魔女の親戚に預けられたポーリーヌの目から観た恋の胸騒ぎが描かれている。冒頭、美魔女から「あんた、彼氏はいるの?YOUは何しにバカンスへ?男を作るため?」と質問攻めにされる。ポーリーヌは「友達を作るため。去年はしけた人しかいなかった。」と語る。男とのナンパな関係に対して警戒を抱いている、また美魔女に対して不信感を抱いていることが分かる。美魔女は「どうせ男だろう?」と煽る。
絶景を前に何をドロドロドラマおっぱじめているんだとブンブンの心が胸騒ぐ。そして、彼女らの前にイケメンが登場してから、観客も女たちも心がかき乱されていく。シェイクのように。違いに本音を隠そうとシレッと嘘をつく。嘘を隠すために嘘を塗りたくるが、どんどん剝がれ落ち、矛盾が浮き彫りになる。そして、恋と嘘に胸が踊りくるう者たちを観ていくうちにあまりの滑稽さに笑えてくるのだ。あれっテラスハウスそのものではありませんか!
1980年代にテラスハウスの基礎が出来上がっていたとは本当に驚きだった。また、改めてジャック・ロジエの凄さに気付かされた。
P.S.エリック・ロメールで4千字レポート、、、楽しそうだが、キツそうだなぁ
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