Love, サイモン 17歳の告白(2018)
Love, Simon(2018)
監督:グレッグ・バーランティ
出演:ニック・ロビンソン、ジョシュ・デュアメル、
ジェニファー・ガーナーetc
評価:70点
アメリカで話題になっているゲイ映画『Love, Simon』。先日会ったオーストラリアの映画友達からオススメされたこともあり、ブルーレイを取り寄せてみました。本作は、ゲイであることを隠している青年の学園ものとのことだが、一風変わった作りをしているらしい。果たして…
『ラブ、サイモン』あらすじ
ベッキー・アルバータリの『サイモンvs人類平等化計画』が原作。サイモンは家族にも周りにもゲイであることを隠して高校生活を送っている。特にそれについて思い悩むことなく平和に暮らしていた。そんなある日、「ブルー」というペンネームで活動しているブロガーが、自身のことをゲイだと公言する。ブログの文面から、どうやら自分の近所に住んでいるらしいことがわかる。そして、学校内にいることも分かる。サイモンは、「ジャック」というペンネームでブルーと親睦を深め、愛し合うようになっていったのだが、ある日、お調子者の同級生マーティンにそのことがバレてしまう…
接触ほぼなし!メールだけで進行する愛の形
本作は森田芳光の『(ハル)』を思わせる作品であった。ゲイの葛藤を描いた話にも関わらず、ほとんど相手が姿を表さないのだ。スマホ、PCからのやりとりだけで恋心の移ろいと苦しみを描く、あまり観ないアプローチで展開される作品であった。そして、スマホやPCを使った、もどかしい恋愛表現に非常に長けた作品であった。主人公のサイモンは、イケメンで家族との仲も良好、学校には友人も沢山いて、ミュージカルの授業を中心にエンジョイしているような所謂スクールカースト中の上の青年だ。自身の同性愛こそ隠しているものの、特に苦しむことなく学園生活を謳歌している。そんな矢先に、ネットで、「I am gay」と公言しているブログを見つける。ブログにある観覧車の写真を見て、「ひょっとして近所に住んでいる?」と勘付くサイモン。そして、次第に彼に惹かれ、メッセージを送る。このメッセージを送った後のサイモンの行動が非常に良く描けている。
誰しもが、大好きな人に初めてデートを誘う時、メールを送った時、「果たして快諾してくれるのだろうか」と不安/期待が心の中をグルグル駆け巡り、上の空となる。そして、今やスマホ社会。スマホ中毒者が後を立たない時代だ。サイモンは、ブルーからの返信を待ちきれず、授業中に抜け出してトイレでメールを確認したり、校内でスマホを出してはいけないのに廊下で白昼堂々歩きスマホをやる。友人とのランチ、家族とのディナー中もスマホをいじってしまうほど。このスマホが気になってしょうがない感じが、まさしく「今」を象徴した鋭い表現となっている。
そして、長い沈黙の末、ブルーとメールを通じた交際がスタートする。ただ、直接学校で会ってしまったらゲイであることがバレてしまう為、サイモンは学校でブルーに会うことは避けようとする。しかし、やはりブルーのことが気になってしまう。誰がブルーなのかをうっすらと詮索するのだ。
そんな中、遂に、それも一番バレてはいけない人マーティンにブルーとの関係がバレてしまう。マーティンは取引で、自分の好きな人を振り向かせる為手伝って欲しい。と持ちかける。渋々受けるサイモン。
そう、本作はブルーの正体を探すミステリーであり、バレるかバレないかサスペンスとなっているのだ。先生、ミュージカル授業の仲間、家族と紙一重で危機を回避していく姿は面白い。そして、着地点も綺麗で面白かった。
ただ、今年のLGBTQ映画は『ナチュラルウーマン
』や『君の名前で僕を呼んで
』と超絶傑作が多い為、それと比べると見劣りするが、『グリーン・ランタン』の脚本家が監督していることを考えると、思わぬ傑作であることは間違いない。
日本公開決まって欲しいなー
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