「感傷的な運命」幻のオリヴィエ・アサイヤスを観た!現在快進撃中イザベル・ユペール出演作

感傷的な運命(2000)
Les Destinées Sentimentales(2000)

監督:オリヴィエ・アサイヤス
出演:エマニュエル・ベアール、
イザベル・ユペール、
シャルル・ベルランetc

評価:70点

日本ではDVD化もVHS化もされておらず、シネフィルの間では幻とされている傑作「感傷的な運命」がアンスティチュフランセで上映されていたので観てきた。知り合いのシネフィルがオールタイムベストに入れるほど愛している作品だけに楽しみにしてました。また、オリヴィエ・アサイヤスは近年、「パーソナル・ショッパー」や「カルロス」、「アクトレス〜女たちの舞台〜

」で日本でも注目されている監督だけに期待度高めで観ました。果たして…

「感傷的な運命」あらすじ

リモージュ磁器の名家に生まれたジャンは、妻ナタリーと倦怠期に陥っている。親の反対を押し切ってなった牧師の仕事も最近上手くいかない。そんなある日、舞踏会で20歳のポリーヌと恋に落ち、ナタリーと離婚し、代わりに彼女と結婚をする。そして、運命に引き寄せられ、陶器工場を継ぐことになるが…

↑リモージュは丁度フランスの真ん中に位置します。愛知県瀬戸市と姉妹都市を結んでいます。

人生に失敗はない

事前に調べたところ、本作は「1900年」や「山猫」といった耽美な大河ドラマを彷彿させるとのことでしたが、本当にその通りでした。フィルム上映だったので画面こそ霞んでいたものの、それでも画面から溢れんばかりの陽光と、豊かな「緑」に心が奪われました。昨年紹介したマノエル・ド・オリヴェイラの「アブラハム渓谷

」を彷彿させる、誠に耽美な物語であった。

ただ、実はブンブンこの手の耽美なドラマは映像こそ好きだが、ストーリーは冗長で退屈だったりする。本作も正直、2時間を超えたあたり、丁度ジャンが陶器工場を継ぐまでは結構退屈してしまったことを正直に述べておこう。

ただ、本作において、観終わるとその退屈だと感じたことは必要であったと身体全体に染み渡ってきます。子どもから大人になり、家族も作った頃に訪れる人生の行き詰まり感。倦怠期、デカダンス。それを、地を這うようにして乗り越えていく男。そして、地を這ううちに、親が自分に託した気持ちが理解でき、本当にやりたいことが明らかになる。ただし、ゼロから始めるとなると困難はつきもの、年老いても数多の壁が押し寄せてくる。それを乗り越えて、乗り越えて人生の最後に生まれる、自分だけの宝。

ジャンが終盤に語る「人生に失敗はない」という言葉に涙した。そう、本作はどんなに辛い人生でも、それは「失敗」ではない。どんなにこの世界の片隅にひっそり生きようと、そこに愛がある限り人生は宝なんだと語りかけるこの「感傷的な運命」に熱くなりました。

日本では今年「未来よ、こんにちは」「ELLE エル

」で再注目されているイザベル・ユペールも、別れた妻役を好演していました。もし、観る機会があるのであれば、本作はオススメですぞ!!

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