『泥酔夢』バスビー・バークレーの顔芸
泥酔夢(1934)DAMES 監督:レイ・エンライト出演:ジョーン・ブロンデル、ルビー・キーラー、ザス・ピッツ、ディック・パウエルetc 評価:80点 おはようございます、チェ・ブンブンです。 バズビー・バークレーをご存…
泥酔夢(1934)DAMES 監督:レイ・エンライト出演:ジョーン・ブロンデル、ルビー・キーラー、ザス・ピッツ、ディック・パウエルetc 評価:80点 おはようございます、チェ・ブンブンです。 バズビー・バークレーをご存…
従軍看護婦の西さくら(若尾文子)は、陸軍病棟に赴任する。問診で部屋に入ると、欲望にまみれた男たちが舐めるように彼女を見つめている。その夜、巡回で同じ部屋を訪れた彼女は男たちに襲われてしまう。主犯の男はその罪で戦場へ送り出された。彼女の地獄はまだ続く、転属となった病棟では常に怪我人が運ばれてくる。手術を待つ間に亡くなり、手術中にも亡くなり、手術後にも亡くなり、ひたすら男が埋葬されていく地獄。彼女はその地獄のシステムに呑まれていき、男に尽くそうとする。そして、モルヒネに依存する岡部軍医(芦田伸介)に恋を抱く。
主人公ジョニー(クリストファー・ウォーケン)は、デートの帰り道、交通事故に遭ってしまい昏睡状態となる。5年後、目覚めた彼は、人の手を握るとその人の未来や過去が見える能力が備わっていた。マスコミに注目される彼は一応、警察に手を貸してみるが、あまりに凄惨な事件を目の当たりにしゲンナリしていく。そんなある日、彼はPR活動をしている上院議員候補スティルソン(マーティン・シーン)と握手を交わすと、彼が核ミサイルのスイッチを押している未来が見えてしまう。それを阻止しようと、彼は暗殺を企てようとするのだ。
あの頃。(2021) 監督:今泉力哉出演:松坂桃李、仲野太賀(太賀)、山中崇、若葉竜也、芹澤興人etc 評価:65点 おはようございます、チェ・ブンブンです。 『愛がなんだ』で幅広い映画ファンにその名を知らしめた今泉力哉…
主人公、鈴木明彦(岡田義徳)はウォールフラワーな高校生。勉強もスポーツもイマイチで、一人補講を受けている程だ。そんな彼は女性と付き合いたい欲にまみれており、女子更衣室を友人と一緒に覗きに行くの。女子更衣室の中心に立ち、光を浴びるシーンが美しくも気持ち悪さが充満している。そこへクリシェがごとく女子が雪崩れ込んでくる。ロッカーに隠れる明彦。彼の手汗にぎるスリルと、欲望からくる爬虫類的眼差しの先で女子がガールズトークをする。ここで今回のヒロインたち、西村小麦(榎本加奈子)、遠野波絵(中山エミリ)、原田夏海(矢田亜希子)、横山美潮(山口紗弥加)の自己紹介が始まる。今の映画であれば、VFXでテロップを出して名前の紹介をしてしまうのだが、本作ではロッカーに貼ってあるシールで顔と名前を一致させるのだ。新鮮である。
本作では対照的な女性マーラとジョーにフォーカスが当たっている。昔からの友達である二人。マーラは保育園で働いており、きめ細かく面倒見が良い。一方でジョーは精神が不安定なソーシャルワーカーである。お金をカバンにドサっと入れていたり、申請書を一人で書けなかったり、一緒に歩いていたら急に消えてブラウニーを買い始めたりとなかなかの社会不適合者である。そんな彼女のことを救えるのは自分しかいないとマーラは手を差し伸べ続けるのです。友人はほっとけないと。
画家と泥棒(2020)The Painter and the Thief 監督:ベンジャミン・リー 評価:95点 おはようございます、チェ・ブンブンです。 第93回アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞ショートリストに選出さ…
「メイヘム」を描いた伝記的本作は、音楽伝記映画にもかかわらずテンションは一定を保っている。てっきり、ミュージシャンのドラマティックな人生が展開されるのかと思いきや、停滞に停滞を重ね、微かなステージに立つ時だけが盛り上がりの絶頂となっている。予告編でも魅せてくれる教会炎上シーンも、静かで地味だったりする。これはどういうことだろうか?先日観たデヴィッド・クローネンバーグの『クラッシュ』に近いものを感じた。内なる暴力性の静かな爆発に癒しを求める者たちが停滞のモヤモヤの中で自己を解放させる場所を追い求めているのではないだろうか?彼らは満足しない。あまり客がこないレコード屋で駄話をし、部屋の一角で練習をする。一般人の平凡な人生と変わりない。その中で些細な変化を求める者たちのもがきが生々しく描かれている。だから、伝説的ミュージシャンの遠い世界の物語ではなく、我々の物語のようにみえるのだ。今、コロナで閉塞に押し込められ、微かな変化を求めてもがき苦しむ者にとってこの作品は救いの処方箋となることでしょう。
ロシアのLGBTQコミュニティのスタッフが電話をしている。チェチェンからのSOSだ。アーニャと名乗る人物は、自分がゲイであることが叔父に発覚し脅されていると語る。アーニャは家を出たいが、どうすればいいのか分からず助けを求めているのだ。
豚を仕留めようとする男。彼はナイフを研ぎ、そろりそろりと豚に近づき殺めようとする。しかし、豚におしっこをかけられてしまう。それを見ていたチンピラがケラケラと笑い、村人の女性からも見下しの目が注がれる。学校でクラスメイトから笑われる羞恥の厭らしさを伝えるのに十分な笑みが画面を木霊する。
怒れる男は森の中で暴れている。自ら儀式を行なっているようだ。しかし、『メートル・フ』で描かれるガーナ・ハウカ運動のように異常な動きを行う主人公に観る者は恐怖を覚えることでしょう。『オーディション』で突然動き始める袋のような気持ち悪さがあります。そうこうしていると、子どもの霊が現れ次のように告げる。
「この世は酷い、貴方が世界を平和に導いてください。」