『Fourteen』脆い友情への処方箋

Fourteen(2019)

監督:ダン・サリット
出演:Tallie Medel, Norma Kuhling, Lorelei Romani etc

評価:60点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

2020年のベストテンを追っていたら『Fourteen』という作品に出会った。マンブルコア系、エリック・ロメール系の会話劇らしい。ポスターヴィジュアルに惹かれて挑戦してみました。今の所日本公開の予定はありませんが、日本人にも刺さる話でありました。

『Fourteen』あらすじ

Over the course of a decade, a young woman becomes increasingly dysfunctional due to undiagnosed mental illness, or perhaps to drugs, while her more stable friend sometimes tries to help, sometimes backs away to preserve herself.
訳:彼女のより安定した友人は時々助けようとしながら、10年の間に、若い女性は、未診断の精神疾患のために、またはおそらく薬物に、ますます機能不全になりますが、時々自分自身を維持するために離れて戻って助けようとします。

※imdbより引用

脆い友情への処方箋

友情というのはライフスタイルによって分断されてしまう。小学校、中学校、高校、大学時代の友達は、社会人になってライフスタイルに乖離が生じると脆く崩れてしまう。音信不通になったりするのだ。毎日を生きるのに必死で、かつての友人が疎かになってしまう現代。多様性といいながらも、生活圏で分断された現代社会にダン・サリットは「優しさ」の手を差し伸べる。

本作では対照的な女性マーラとジョーにフォーカスが当たっている。昔からの友達である二人。マーラは保育園で働いており、きめ細かく面倒見が良い。一方でジョーは精神が不安定なソーシャルワーカーである。お金をカバンにドサっと入れていたり、申請書を一人で書けなかったり、一緒に歩いていたら急に消えてブラウニーを買い始めたりとなかなかの社会不適合者である。そんな彼女のことを救えるのは自分しかいないとマーラは手を差し伸べ続けるのです。友人はほっとけないと。

本作は、映画としての盛り上がりを控えめにしたリアル志向ななドラマである。しかしながら、画面構図においては極めて映画てきが。特記すべきはマーラと他者の構図である。マーラ以外男も女も頭一つ以上身長が高くなっている。彼女は見上げるようにして、他者とコミュニケーションを取っている。これは、マーラは優秀であり続けようとする様子を暗示しているように見える。『本気のしるし』における細川さんの様に、他者から認知してもらう為には必死に努力して「できる人」にならないといけない悲哀がこの映画にも見える。だからこそジョーにも優しくするのだ。ジョーは自分をみてくれる一番の人だから。

現代社会においてライフスタイルや階級によって友人は切り捨てられがちだ。しかし、それはマーラのように誰かに認知してもらおうとする戦略だったりして、結局のところ人は孤独に悩まされてしまう。

だからこそ、そのような枠組みを越えた人との対話が重要であり、『Fourteen』はそのような関係性を静かに提示していると言えよう。地味な作品故に日本公開の難易度は高いのですが、良い作品でした。

※imdbより画像引用