評価

2021映画

【 #死ぬまでに観たい映画1001本 】『孤独な場所で』ファムファタールの対岸にいるDV男

以前、「死ぬまでに観たい映画1001本」掲載作かと思って観賞した『危険な場所で』は違ったので、リベンジとして『孤独な場所で』を観てみました。ニコラス・レイといえば女性版西部劇として『大砂塵』を発表したことで有名だが、本作ではファムファタールを逆転させることで男性の暴力性を捉えた大傑作となってました。

2021映画

【 #死ぬまでに観たい映画1001本 】『デイヴィッド・ホルツマンの日記』元祖youtuberのイキり日記

「死ぬまでに観たい映画1001本」掲載の謎映画、結局本誌読んでもなんで重要なのかが分からないことが多いのですが、最近発売された遠山純生の「〈アメリカ映画史〉再構築 社会派ドキュメンタリーからブロックバスターまで」には『クール・ワールド』や『ワンダ』、『ブレージングサドル』といった作品の解説が載っておりフルマラソンの副読本として役に立っている。さて、今回は元祖フェイク・ドキュメンタリー、元祖youtuber映画として囁かれている『デイヴィッド・ホルツマンの日記』を観てみました。

2021映画

【 #死ぬまでに観たい映画1001本 】『汚れた顔の天使』善人と悪人を繋ぐ絆

「死ぬまでに観たい映画1001本」掲載のギャング映画『汚れた顔の天使』を観ました。それにしても、ひと昔前なら「死ぬまでに観たい映画1001本」攻略の鬼門としてクラシック映画があったのですが、今やAmazon Prime Videoで次から次へと本気を出さないと入手できないような映画、例えば『ゴールド・ディガーズ』や『風雲のチャイナ』、『情熱の航路』などが配信されて随分と走りやすくなったものです(でもTwitter見ても挑戦者が現れては消えるを繰り返していて哀しいな)。

2021映画

『クライ・マッチョ』泣きたいマッチョは猫かぶる

早撮りの巨匠で、キネマ旬報が大好きな監督クリント・イーストウッドももう90歳の大台に乗りました。最近は『15時17分、パリ行き』、『運び屋』と人生の集大成のような映画を作っている彼ですが、遂に遺作にする気満々な作品を発表しました。その名も『クライ・マッチョ』。フィル・フィースがMr.オリンピア7連覇し栄光を掴んだ軌跡を追うスポ根もの…ではなく、本作はかつてマッチョだったクリント・イーストウッドがメキシコにいるマッチョに憧れる少年と旅をするロードムービーとなっている。これが、大問題作でありました。

2021映画

【東京国際映画祭】『箱』骨壺に入ったお父さんは目の前に

『彼方から』で第72回ヴェネツィア国際映画祭金獅子賞を受賞したロレンソ・ビガス最新作『箱』を第34回東京国際映画祭で観てきました。結局、前作はラテンビート映画祭で上映されたきり日本一般公開できなかったので、これを逃すと観賞困難作になるだろうと思って挑戦したのですが、『ノマドランド』系の作品で退屈してしまった。

2021映画

【東京国際映画祭】『一人と四人』ペマ・ツェテンの息子が『ヘイトフル・エイト』を撮っていた件

スペースで第34回東京国際映画祭作戦会議を開いた際に、フォロワーさんから『一人と四人』の監督はペマ・ツェテンの息子だよと教えてもらった。近年、チベットや中国映画界はジャ・ジャンクーとペマ・ツェテンがサポートに入り、新鋭を育てている風潮がある。第16回大阪アジアン映画祭で上映されたチベット映画『君のための歌』に引き続き、二人が携わっている映画が日本でお披露目となったのだ。ただ、ペマ・ツェテン映画のイメージで観たらタランティーノ映画で思わぬボディーブローを喰らいました。

2021映画

【東京国際映画祭】『リンボ』辺獄の果てまでどこまでも

第34回東京国際映画祭にて香港ノワール『リンボ』を観賞した。ポスタービジュアルから漂う混沌が凄まじいのですが、知り合い曰く元々パートカラーの作品だったとのこと。ポストプロダクション時に、ワンシーンを白黒にしたところ全編に適用したらしい。果たしてどんな作品に仕上がっているのだろうか?

2021映画

【東京国際映画祭】『カリフォルニエ』自分のモノがないこと、自分のジカンがないこと

第34回東京国際映画祭コンペティション作品『カリフォルニエ』を観ました。Twitterのフォロワーさんと食事をした際に『6才のボクが、大人になるまで。』とダルデンヌ兄弟の作品を足したような映画と聞いて不安を感じたのですが杞憂。ありがちな貧困回転寿司映画になっておらず、貧困によって起こる心理的問題を鋭く分析し、寄り添う映画となっていた。

2021映画

【東京国際映画祭】『ヴェラは海の夢を見る』身体と言葉を繋ぐ者ですら

済藤鉄腸さん( @GregariousGoGo )さんがコソボ映画が熱いと語っており、自分も『EXIL』でコソボ映画の魅力に惹かれていたが、まさか第34回東京国際映画祭コンペティション部門にコソボ映画が選出されグランプリを受賞するとは思いもよらなかった。これは嬉しいと思う一方で、肝心な中身は私の苦手盛りだくさんな映画であった。