評価

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【東京国際映画祭】『一人と四人』ペマ・ツェテンの息子が『ヘイトフル・エイト』を撮っていた件

スペースで第34回東京国際映画祭作戦会議を開いた際に、フォロワーさんから『一人と四人』の監督はペマ・ツェテンの息子だよと教えてもらった。近年、チベットや中国映画界はジャ・ジャンクーとペマ・ツェテンがサポートに入り、新鋭を育てている風潮がある。第16回大阪アジアン映画祭で上映されたチベット映画『君のための歌』に引き続き、二人が携わっている映画が日本でお披露目となったのだ。ただ、ペマ・ツェテン映画のイメージで観たらタランティーノ映画で思わぬボディーブローを喰らいました。

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【東京国際映画祭】『リンボ』辺獄の果てまでどこまでも

第34回東京国際映画祭にて香港ノワール『リンボ』を観賞した。ポスタービジュアルから漂う混沌が凄まじいのですが、知り合い曰く元々パートカラーの作品だったとのこと。ポストプロダクション時に、ワンシーンを白黒にしたところ全編に適用したらしい。果たしてどんな作品に仕上がっているのだろうか?

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【東京国際映画祭】『カリフォルニエ』自分のモノがないこと、自分のジカンがないこと

第34回東京国際映画祭コンペティション作品『カリフォルニエ』を観ました。Twitterのフォロワーさんと食事をした際に『6才のボクが、大人になるまで。』とダルデンヌ兄弟の作品を足したような映画と聞いて不安を感じたのですが杞憂。ありがちな貧困回転寿司映画になっておらず、貧困によって起こる心理的問題を鋭く分析し、寄り添う映画となっていた。

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【東京国際映画祭】『ヴェラは海の夢を見る』身体と言葉を繋ぐ者ですら

済藤鉄腸さん( @GregariousGoGo )さんがコソボ映画が熱いと語っており、自分も『EXIL』でコソボ映画の魅力に惹かれていたが、まさか第34回東京国際映画祭コンペティション部門にコソボ映画が選出されグランプリを受賞するとは思いもよらなかった。これは嬉しいと思う一方で、肝心な中身は私の苦手盛りだくさんな映画であった。

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【東京国際映画祭】『牛』アンドレア・アーノルドの軟禁牛小屋※ネタバレ

第34回東京国際映画祭でまさかまさかのアンドレア・アーノルド監督最新作『COW』が上映された。アンドレア・アーノルド監督は長編5作中3作(『Red Road』、『フィッシュ・タンク』、『アメリカン・ハニー』)でカンヌ国際映画祭審査員賞を受賞している天才的な監督である。そんな彼女が牛目線のドキュメンタリーを撮ったということで、ラインナップ発表されるとTwitter映画ファンの間で盛り上がった。これが予想以上に壮絶な内容であった。

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『エッシャー通りの赤いポスト』園子温、エキストラ目線の『8 1/2』

『愛のむきだし』、『冷たい熱帯魚』で知られる鬼才・園子温がワークショップで制作した作品『エッシャー通りの赤いポスト』が2021/12/25(土)より渋谷・ユーロスペース、大阪・第七藝術劇場、福岡・kino cinéma天神にて公開される。

株式会社ガイエさんのご好意で一足早く観賞したので、感想を書いていきます。

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【東京国際映画祭】『アリサカ』修羅場映画のスペシャリスト、ミカイル・レッド

第33回東京国際映画祭コンペティション部門にミカイル・レッド最新作『アリサカ』が選出された。ミカイル・レッドといえば映画泥棒がひたすら逃げる作品『レコーダー 目撃者』の緊迫感が記憶に新しい。本作でも修羅場映画になっていると聞いて駆けつけました。

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【東京国際映画祭】『ある詩人』広大な文学の地が失われる轍※ネタバレ

第33回東京国際映画祭コンペティション部門が発表された時、私は度肝を抜かれました。なんとダルジャン・オミルバエフの新作が選出されていたのです。ダルジャン・オミルバエフといえばカザフスタンのブレッソンとかタルコフスキーと呼ばれている伝説的な監督。トルストイの「アンナ・カレーニナ」を映画化した『ショーガ』はカイエ・デュ・シネマの年間ベストに選出されている。私も2021年に映画監督の不思議な旅路を描いた『ザ・ロード』とドストエフスキー「罪と罰」を映画化した『ある学生』に衝撃を受けて、2021年上半期ベスト旧作編に選出している。そんな彼の新作が三大映画祭をスルーして東京国際映画祭でワールド・プレミア上映されるとは市山尚三の選定眼に痺れます。