『The War of the Worlds: Next Century』ポーランドでオーソン・ウェルズ『宇宙戦争』に捧ぐ

The War of the Worlds: Next Century(1981)

監督:Piotr Szulkin
出演:Krystyna Janda,Mariusz Dmochowski,Roman Wilhelmi etc

評価:65点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

東欧映画専門のサブスクEastern European Moviesで作品を漁っていたら『宇宙戦争』をモチーフにしたポーランド映画を見つけた。何気なく観ていたら、オーソン・ウェルズがラジオで『宇宙戦争』を放送したエピソードにインスパイア受けたSF映画であることが判明。ユニークな作品であった。

『The War of the Worlds: Next Century』あらすじ

The War of the Worlds: Next Century with English French Spanish Czech Italian Portuguese subtitles is a 1981 Polish film by Piotr Szulkin which is inspired by the classical novel of H. G. Wells, The War of the Worlds. It was immediately banned by the Polish government upon its release because it depicted political parallels with the political context of the country at that time. It only received its premiere on 20 February 1983.
Film opens on December 18, 1999, just a few days before the dawn of the new century. A local reporter, Iron Idem, announces that the Martians have landed. Shortly after that his program loses its independence: he is given the script telling the crowds how to welcome the invaders.
訳:The War of the Worlds: Next Century 英語フランス語スペイン語チェコ語イタリア語ポルトガル語字幕付きは、H・G・ウェルズの古典小説『宇宙戦争』をモチーフにしたピョートル・スルキン監督の1981年のポーランド映画である。この作品は、当時のポーランドの政治的背景と類似していたため、公開と同時にポーランド政府によって直ちに上映禁止となった。1983年2月20日に初公開されたばかりである。
映画の公開は1999年12月18日、新世紀の幕開けを数日後に控えた時期である。地元のレポーター、アイアン・アイデムは火星人が上陸したと発表する。その直後、彼の番組は独立性を失ってしまう。彼は、群衆に侵略者をどう迎え入れるかを伝える台本を渡される。

※Eastern European Moviesより引用

ポーランドでオーソン・ウェルズ『宇宙戦争』に捧ぐ

冒頭で、H.G.ウェルズとオーソン・ウェルズに捧げると同時に、子どもが無邪気に犬のような首輪をつけて奴隷と主の関係を形成しながら街を闊歩する不気味な場面から始まる。レポーターのアイデムは放送で火星人が到着したと放送する。そして自宅で妻と情事に明け暮れていると、突然秘密警察のような軍団が殴り込みにやってきて、妻を誘拐する。アイデムが「何が欲しいんだ?」と叫ぶと、「愛さ」と語り、そのまま彼も連れ去る。耳にタグを付けられた男は、火星人と国家との陰謀に巻き込まれ、メディアによる大衆支配の駒にされていく。

竜頭蛇尾系の物語ではあるものの、終盤にメディアで歪められた真実と、事実に引き裂かれることで自由になるアイデムの演出が凄まじく、長回しでショッキングな場面をテレビモニタと現実に映るアイデムの同時映り込みで捉え、そのまま霧の中に消えていく。このラストがあるだけでもこの映画の勝利と言えよう。確かに、この内容はポーランド政府によって上映禁止になるなと思いつつも攻めの映画であり再評価されるべき作品であろう。

※MUBIより画像引用