2021映画

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【アカデミー賞】『ミナリ』アメリカン・ドリームの終焉※ネタバレ

ジェイコブ(スティーヴン・ユァン)がど田舎にあるトレーラーハウスと土地を買い、家族の反対を押しきって移り住む。彼は10年間ヒヨコ鑑定士として汗水流してきた。いい加減アメリカン・ドリームを掴み子どもに良いところを魅せたいと考えている。そのエゴが暴走し、病弱な息子デビッド(アラン・キム)を抱えているのに病院から1時間もある土地にしがみつき、家事は妻モニカ(ハン・イェリ)やおばあちゃんスンジャ(ユン・ヨジョン)に任せっきりだ。

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【アフリカ映画】『Munyurangabo』:ミナリの監督がルワンダで叫ぶ「殴るより歩け!」

彼らはヒッチハイキングしながら旅を続ける。その道中Sangwaは故郷に戻ってくる。3年間家出していた彼に対して母親は抱擁するも、父親はいい顔をしない。Sangwaのナップサックにマチェーテが入っていることや、Ngaboの正体に不信感を募らせている。Sangwaは数時間だけ滞在する予定だったのだが、なんだかんだで泊まることになり泥を塗ったり、水を汲んだりして家事を手伝うことになる。

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『クリシャ』クリシェのクリシャ

本作は、謎の訪問者クリシャにそのクリシェを纏わせることで、固い絆で結ばれているようで脆い人間の心理を暴き出している。冒頭、5分以上に渡る長回しで、クリシャの帰還が描かれる。車から降り、ブツブツと独り言を発しながらベルを鳴らす。しかし、誰も出ない。どうやら家を間違えたようだ。クルッと振り返ると、目をカッと開いた彼女がカメラの方に向かって歩いてくる。その異様な佇まいから不穏な様子が滲み出る。そして家の中に入るのだが、温かく迎えてくれるようでどこかよそよそしい家族が映し出される。よくよくみると、彼女の右手人差し指には包帯が巻かれている。家族は、家の中で団欒としているが、激密な空間の中で好き勝手に動き回り、騒々しい。息苦しさが漂っている。そんな中、クリシャは独り七面鳥の丸焼きを作り始めるのだ。家族は手伝うよと言いつつも、何も手伝っておらず彼女を放置する。

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【OAFF2021】『いとみち』メイドと三味線の不思議なマリアージュ

本作はヒロインいとが全編津軽弁で話す関係で、日本映画でありながら何を話しているのかが非常に分かりにくい作品となっている。大阪アジアン映画祭では英語字幕がついていたものの、劇場公開時では字幕はつかないと思われるので、語尾をはっきりと語らない、いとの意図を汲み取ることが重要になってくる。本作は、津軽弁にコンプレックスを持つ少女がバーバルコミュニケーションとノンバーバルコミュニケーションの狭間で折衷を図りアイデンティティを確立して行くまでを描いている。ポスタービジュアルから、よくある町興しものかと思うかもしれませんが、テーマに対する鋭い視線が感じられる。

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【OAFF2021】『ナディア、バタフライ』身体の一部が喪失する倦怠感

何十年も、一つのことに没頭してきた者がそれを失う時、そこには大きな喪失感が生じる。本作は東京五輪をテーマにしたスポーツ映画でありながら、試合のシーンを横に置くユニークな演出が特徴的な作品だ。通常の映画であれば、引退する水泳選手の物語を描くのであれば、最後に有終の美としての泳ぎを魅せる。しかしながら、『ナディア、バタフライ』は冒頭20分で練習の場面と最後の試合の場面を完了させてしまうのだ。そして、その場面がとてつもなくスリリングで美しい。

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ATフィールドを破り、真希波・マリに接吻する虫を大阪エキスポIMAXで見た話

私は映画館で超常現象によく巻き込まれる。『イメージの本』を観た時は、私のい席を挟んでおっさんと女が喧嘩を始めた。『プリズン・サークル』を観た時は、隣に延々と空手ポーズをしながら「殺す」と呪文を唱え続けるヤバい人と2時間半を共にした。レイキャビく映画祭で『さよなら、人類』を観た時は、映写トラブルで字幕が映らず、スウェーデン語字幕なし心の副音声で映画を堪能する羽目になった。そういえば、かつてココマルシアターで初回の映写トラブルにも立ち会った。

そんなジョン・マクレーンな自分を運命は逃さなかった。世にも珍しい映写トラブルに出会ったのでここで成仏しようと思います。