AGON(2025)
監督:Giulio Bertelli
出演:アリーチェ・ベッランディ、Yile Yara Vianello、Sofija Zobina
評価:90点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
MUBIに昨年のヴェネツィア国際映画祭で国際批評家連盟賞を受賞した『AGON』が配信された。予告編に惹かれたので観たのだが、尖りに尖った一本であった。
『AGON』あらすじ
As the fictional Olympic Games of Ludoj 2024 approaches, AGON shows the stories of three athletes as they prepare and then compete in rifle shooting, fencing and judo.
訳:架空のオリンピック大会「ルドイ2024」が近づくにつれ、AGONはライフル射撃、フェンシング、柔道の3人のアスリートが準備を進め、競技に臨む様子を描く。
オリンピック優勝者は肉体が決めるのではない社会が決めるのだ
本作は架空のオリンピック大会「ルドイ2024」直前の3競技にフォーカスが当たっている。柔道パートでは2024年のパリ五輪で金メダルを獲得したアリーチェ・ベッランディ選手演じる主人公が、ケガをしてしまい、大会に間に合わせるべく肉体改造する様が描かれている。この大会を逃したら二度と五輪の舞台に立てないと思った彼女が無理をしながら試合を目指すのだが、病院で手術や投薬される場面はどこかボディホラーを彷彿とさせる不気味さがある。
次にフェンシングパートでは試合のルール変更によりパフォーマンスが出せなくなってしまった者の情緒の揺らぎを描いている。ヴァーチャル空間での動き、異なる質感の映像が多動的に挿入されることによって集中力の欠如が描かれると共に、五輪は純粋な強さではなくルールによって定義される様が暴かれる。
最後に射撃選手にフォーカスが当たる。射撃のネガティブなイメージを払拭すべくインフルエンサーとしても活躍する女性の姿をクールに広告的に映し出す。しかし、違法なオオカミ狩りの動画が流出したことで、試合よりもステークホルダーとの関係調整に注力される。
高校時代、国語の先生が「五輪と戦争は密接に関わっている」と話していて、その時はピンと来なかったのだが、要は肉体ではなく社会によって栄冠が規定されることを言わんとしていたのかもしれない。実際、フェンシングパートで描かれるルール変更で割を食う様は、冬季オリンピックにて突然失格となる日本のスキージャンプ選手の話と重なるところがある。
映画は物語というよりイメージによる実験でこのような五輪を巡る問題を捉えており、その手法に感銘を受けたのであった。










