Rimini(2022)
監督:ウルリヒ・ザイドル
出演:ミヒャエル・トーマス、ハンス・マイケル・レバーグ、インゲ・マックス、クラウディア・マルティーニetc
評価:70点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
ウルリヒ・ザイドル作品。もともとは『WICKED GAMES Rimini Sparta』というタイトルで『スパルタ』とセットだったのだが、分離して公開された一本(合体版はIFFRで上映されている)。『スパルタ』自体は東京国際映画祭で観ているのだが、MUBIに『Rimini』の方が来ていたので今回はこちらをレビューする。
『Rimini』あらすじ
The death of his mother brings Richie Bravo back from his adopted home in Italy to his teenage bedroom in Lower Austria, where Charlton Heston is still flexing his biceps and Winnetou is still alive.
訳:母親の死をきっかけに、リッチー・ブラボーは養父のいるイタリアから、チャールトン・ヘストンがまだ上腕二頭筋を鍛え、ウィネトウがまだ生きているニーダーエスターライヒの10代の寝室に戻る。
朽ち果てた歌手の生活
本作は『スパルタ』と対になる作品だ。『スパルタ』では、正体不明のおじが柔道教室を開き、子どもを支配していく内容だった。子どもの私生活は開示されども、おじの詳細はいまいち分からない非対称性がグロテスクに映っていた。
『Rimini』の場合、主人公の生活は赤裸々に開示される。朽ち果てた歌手は、ホテル周りをしミニライブを行い日銭を稼ぐ。全く人気がないわけではないが、ホテル入り口でのファンサービスの小ぢんまりとした感じは察するものがある。
一応、会場ではエルヴィス・プレスリーのように振る舞ってはいるものの、わがままボディ、寂れた風貌にはいたたまれないものがある。そして、日銭のために女性客とセックスをしている。
本作は『スパルタ』以上に老人ホームとの対比が上手くいっており、まさしく瀬戸際の生活であることがヒシヒシと伝わってくるのだ。なるほど、これなら分割して上映でもいいのかもしれない。