『ゴッドランド/Godland』開拓者の傲慢さについて

ゴッドランド/Godland(2022)

監督:フリーヌル・パルマソン
出演:Elliott Crosset Hove、イングヴァール・E・シーグルソン、ヴィクトリア・カルメン・ゾンネ、ヤコブ・ローマン、ヒルマー・グドヨンソンetc

評価:80点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

第96回アカデミー賞国際長編映画賞アイスランド代表の『Godland』を観た。監督のフリーヌル・パルマソンは荒野にツリーハウスを作る短編『Nest』が面白かったので期待して観た。これがかなり面白かった。

『Godland』あらすじ

In the late 19th century, Danish priest Lucas makes the perilous trek to Iceland’s southeastern coast to establish a church. There, the arrogant man of God finds his resolve tested as he confronts the terrain, temptations of the flesh, and the reality of being an intruder in an unforgiving land.
訳:19世紀後半、デンマークの司祭ルーカスは、教会を設立するためにアイスランドの南東海岸へ危険な旅をする。そこで傲慢な神の男は、地形、肉の誘惑、そして容赦ない土地への侵入者としての現実に直面し、その決意を試されることになる。

MUBIより引用

開拓者の傲慢さについて

デンマークからアイスランドへ渡り教会を作る。シンプルな内容でありながら、辺境に教会を作る過酷さを追体験させるように上映時間が2時間半近くある。『約束の地』を踏襲したような四隅が丸いフォーマットの中、美しくも恐ろしいアイスランドの地を魅せていく。その様子はネイチャードキュメンタリーさながらであり、特に溶岩を映す場面の幻想的な光景は圧巻である。かつて、ロバート・フラハティが辺境を撮ろうと冒険した時代を意識し、カラーながらもザラついた質感で描くも、2020年代だからこそ捉えられるショットを決めていく。この力強さに惹き込まれていく中で、開拓者の傲慢さが垣間見えてくる。伝道師が内なる葛藤を抱える映画といえば、ベルイマンを想像するが、本作は傲慢さを引き出すことに特化している。

例えば、教会を建てる場面では現地の親方に声をかけられるも、神父はアイスランド語もろくに話さず、「俺に合わせろ」と言わんばかりの態度を取り、建設もロクに手伝わないのだ。そしてそんな社会において、女は男の世話に押し込められる。現地の女<現地の男<開拓者の構図の痛々しさを荒涼としたアイスランドの地を通じて紡ぎ出した本作。フリーヌル・パルマソンの確かな演出力は今後も期待である。 ※MUBIより画像引用 [itemlink post_id="33366"] [itemlink post_id="33367"]