『Smoke Sauna Sisterhood』懺悔室としてのサウナ

Smoke Sauna Sisterhood(2023)

監督:Anna Hints

評価:60点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

無形文化遺産に登録されたエストニアのスモークサウナを扱ったドキュメンタリー。CPH:DOXで観逃していたのだが、MUBIに来ていたので観た。

『Smoke Sauna Sisterhood』概要

In the darkness of a smoke sauna, women share their innermost secrets and intimate experiences, washing off the shame trapped in their bodies and regaining their strength through a sense of communion.
訳:スモークサウナの暗闇の中で、女性たちは自分の心の奥底にある秘密や親密な体験を分かち合い、身体に閉じ込められた羞恥心を洗い流し、交わりの感覚を通して力を取り戻す。

IMDbより引用

懺悔室としてのサウナ

日本においてサウナというと、ビジネスマッチョがこぞって入って我慢比べしているような偏見がある。しかし、サウナの本場ではどうやら異なる使われ方をしているようだ。それは、以前観た『サウナのあるところ』もそうだが懺悔室のような使われ方をしている。

寒々しいエストニアの地、そこに灯される温もり。その中で女性たちが自分の肉体や家族の悩みといったものを汗と共に洗い流していく。映画は、そんな女性たちをスピリチュアルに捉えていく。冷たく過酷な場所から解放されるとカタルシスが起きるといった感覚なんだろう。日本の場合、サウナに入る行為はわざわざ快適な空間から過酷な空間へ入ることだが、北欧圏になるとそれが反対となり、浄化の中で自分の内に秘めていたものも現出するのだろう。

文化ドキュメンタリーとして面白い知見をもたらす作品であった。