『沙羅双樹』祭のパワーは大雨をもたらす

沙羅双樹(2003)

監督:河瀨直美
出演:福永幸平、兵頭祐香、生瀬勝久、河瀨直美、樋口可南子etc

評価:60点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

TSUTAYA浅草店の在庫一掃セールで河瀨直美の『沙羅双樹』をゲットした。彼女の作品との相性は最悪なのだが、カイエ・デュ・シネマのベストに選出された作品でもあるので観てみた。彼女の作品の中では一番観やすかった。

『沙羅双樹』あらすじ

1997年、夏。長い歴史を持つ奈良には、今日でも古い建造物や伝説が残っている。その旧市街地で代々墨職人を受け継いできた麻生家の、ひっそり静まりかえった作業場では、双子の兄弟が戯れている。眩しい夏の光りに誘われて路地に駆け出した兄“圭”を必死に追う“俊”は、入り組んだ辻を勢いよく駆け抜けてゆくが、ふと曲がりきった辻に消え入るかのように圭の姿を見失う。 神隠しなのか? 事件に巻き込まれたのか? 古来よりお守りとして、軒先に吊るされた身代わり猿(庚申・こうしん)だけが真実を知りうるのか……。

映画.comより引用

祭のパワーは大雨をもたらす

この時代の河瀨直美作品は録音が酷く、字幕がないと聞き取れないほどである。相変わらずスピリチュアルな内容で、美しく感傷的な画の中で神隠しに遭ってしまう子ども、青春、祭が映し出される。前半こそあまり惹かれるものはなかったのだが、終盤にダンサーが練り歩く祭の場面がある。これがパワフルであった。祭とは集団が一つの方向に向くことで独特なエネルギーが生まれる。それを映画的に落とし込むと大雨が降る。大雨は不快な象徴だろう。しかし同時に、全てを洗い流す象徴でもある。人々のエネルギーが大雨の不快さを吹き飛ばして、カタルシスに繋げていく。この運動に感動してしまった。今だと、新海誠監督が得意とする演出だが、この時代は河瀨直美がそれをやってのけたといえよう。

※日活より画像引用

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