【第36回東京国際映画祭】『雪豹』雪豹を逃す?逃さない?

雪豹(2023)
Snow Leopard

監督:ペマ・ツェテン
出演:ジンパ、ディラン・ション

評価:70点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

第36回東京国際映画祭コンペティション部門にチベットの映画監督ペマ・ツェテンの遺作のひとつ『雪豹』が選出された。ペマ・ツェテンといえば、毎回「羊」が物語の中心を占めるわけだが、今回もその系譜をいく作品であった。

『雪豹』あらすじ

本年5月に急逝したチベット人監督ペマ・ツェテンの最後の作品のひとつ。舞台は白い豹が生息するチベットの山村。若いチベット僧と豹との交流をファンタジックな設定の中に描き、人間と動物の共生の可能性を問う。

※第36回東京国際映画祭より引用

雪豹を逃す?逃さない?

テレビ局の人がチベットの村にやってくる。雪豹が羊を9頭も食い殺してしまったようだ。村のドンのような男が、羊を失ったことによる損失をどうにかしたいと雪豹を羊小屋に閉じ込めている。明らかにその方が被害が拡大しそうなのだが、理性を失っている彼は、村人と揉めている。雪豹は天然記念物のような存在で、勝手に捕獲することは許されない。警察が来て説得に入る中、テレビクルーは何を撮るだろうか?

「雪豹を逃すか?逃さないか?」というテーマだけでひたすら議論していくミニマムな内容。羊が怯えているのに、同じ空間に雪豹がいる滑稽さ、割と呑気に村人たちと辛いラーメンを食べたり誕生日パーティを開くゆるさが妙に癖になる一本。

ペマ・ツェテン監督作は割とチベット文化というか若干スピリチュアルな内容になる傾向があり、分かりにくいところもあるのだが、本作は今までで一番ライトで観やすい作品であった。

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※第36回東京国際映画祭サイトより画像引用