かごの中の子供たち(1988)
DE BRUIT ET DE FUREUR(1988)
監督:ジャン=クロード・ブリソー
出演:ヴァンサン・ガスプリッシュ、リサ・エレディア、
フランソワ・ネグレetc
評価:85点
TSUTAYA渋谷店でカイエ・デュ・シネマベストテンにランクインした『かごの中の子供たち』のVHSを借りてきた。Filmarksではほとんど感想がアップしていないだけにワクワク。果たして…
『かごの中の子供たち』あらすじ
パリ郊外の団地に少年がやって来る。団地では放火騒ぎが起きている。少年は母親が不在の家に辿り着く。母親は仕事か何かでいつも居ない。愛情を求める彼は、不良の少年ジャンに惹き込まれて行く…こんな団地ともおは厭だ
『ひめごと』などのエロ映画で有名なジャン=クロード・ブリソーの初期作にして、カンヌ国際映画祭カメラドール受賞作品。本作は、SFかジャック・タチかと思う程の異様な光景から始まる。人類が滅亡した世界に見える団地が映し出される。少年は、新居に向かう。その途中で火災が起きているのにスルーする。この時点で、この団地、厭だと思う。団地で団欒できる訳がない。『団地ともお』のようなノスタルジーもなく、ただただ虚無を極めている。
そして、放火犯の少年にカメラが映る。住人は保護者に詰め寄る。しかし父親は「俺の息子を殴るではない。」と言いながら、その放火犯である息子を殴る。「殴っていいのは俺だけだ!」
話としてはありがち。ひ弱な少年が暴力的な少年に惹かれていく。しかし、二人は引き離され、ひ弱な少年は女に恋をする。それを暴力的な少年は知り、、、という面白いが、結構似たような話あるよねっという感じ。
しかし、本作は徹底したシュールな暴力で世界を支配することで、ひ弱な少年が暴力に惹きこまれていく様子が効果的に描かれているのだ。不良少年ジャンの家は暴力的な父親が支配しており、部屋の中で銃をぶっ放す。学校では最強の悪であるジャンも家では、奴隷のよう。そしてジャンは父の血から逃れようとしているのだが、抗うことができない。彼は父の血を洗うがごとく少年に惹かれ合う。無機質で、雑然としているのだが、二つの凹と凸がくっつく綺麗さにブンブンは圧倒されました。『ひめごと』が苦手だっただけに身構えていたのだが、それは杞憂であった。
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