MEG ザ・モンスターズ2(2023)
Meg 2: The Trench
監督:ベン・ウィートリー
出演:ジェイソン・ステイサム、クリフ・カーティス、シエンナ・ギロリー、ソフィア・ツァイ、ペイジ・ケネディ、ウー・ジンetc
評価:100点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
夏だ、サメだ、ステイサムだ!ジェイソン・ステイサムが能天気な人間たちの尻拭いをしながらサメと戦うシリーズ第2弾『MEG ザ・モンスターズ2』が公開された。最近、暑くて映画館に行く気力がゴリゴリに削がれているのだが、ステイサム好きとしては行かねばと駆けつけた。これが想像以上に大傑作であり、サメ映画としてオールタイムベストに入るのはもちろん、2023年の映画ベスト候補になるほど素晴らしい作品であった。
『MEG ザ・モンスターズ2』あらすじ
ジェイソン・ステイサム主演で、巨大ザメ「メガロドン(Megalodon)」=通称「MEG(メグ)」の恐怖を描いた海洋パニックアクション「MEG ザ・モンスター」のシリーズ第2弾。
潜水レスキューのプロ、ジョナス・テイラーは、海洋調査チームとともに地球でもっとも深いとされるマリアナ海溝へと潜り、人類未踏の約10キロの深海へと向かう。そこで彼らは謎の生命反応を探知し、触れてはならない恐怖を目覚めさせてしまう。それは見たこともない大きさとどう猛さで生態系の頂点に君臨する巨大ザメ=MEG(メグ)の群れと、さらなる巨大生物たちだった。それらはやがて深海からビーチにまで襲来し、テイラーたちは絶体絶命の危機に陥る。
「ワイルド・スピード」「エクスペンダブルズ」「トランスポーター」などさまざまなアクション映画で活躍するステイサムが再びジョナス・テイラー役を演じる。前作からはほかにクリフ・カーティスらが続投。新キャストとして「戦狼 ウルフ・オブ・ウォー」などのヒット作で知られる中国の人気アクション俳優ウー・ジンらが参加した。監督は「フリー・ファイヤー」「ハイ・ライズ」のベン・ウィートリー。
巨大ザメVS戦いながら回復する男ジェイソン・ステイサム
意外なことに本作はジェームズ・キャメロン盛り合わせ映画となっている。例えるならば『アバター ウェイ・オブ・ウォーター』で果てしなく長い自然パートの終わりに『エイリアン2』『アビス』『ターミネーター2』『タイタニック』が押し寄せてくるあの高揚感を徹頭徹尾やっているのだ。そしてサメ映画も『ジョーズ』から『シャークトパス vs 狼鯨』、亜種としての『ピラニア3D』といった要素が所狭しと並んでいる。こう聞くと、バカ映画に見えるだろう。実際に、前作以上に人間軍団はネジが10本ぐらい抜け落ちているぐらい脳天気なのだが、よくよく見ると理詰めとハズしのアクションの連続となっており、ハリウッド大作にありがちな情報過多でダレることなく2時間以内に収まっている。
幾つか注目すべきポイントを挙げる。ひとつ目は、敵をサメに食わせる場面。肉弾戦の中で、敵が負傷する。血が床を伝って海に流れる。死亡フラグが立つ。ここで観客が想像するのは、背後、正面、下からの3方向による捕食だろう。しかし、映画では通り魔のように敵を捕食していく選択を取るのである。また、別の場面では、モンスターから逃げるように倉庫へ入ると、敵対勢力に銃を向けられてしまう。絶体絶命な場面であるが、倉庫の空間構図を利用し、モンスターを敵に仕向けさせる。このように、幾つかの勢力を分散させておき、ここぞという時に形勢を逆転させる。その運動に面白さを見出していくアプローチを徹底しているので、一見するとギャグを連発するだけの存在に見えるキャラクターが大活躍したり、思わぬキャラクターの組み合わせがアクシデントの中で生まれるので、全ての場面に説得力があるのだ。これがあるから、どうかしている脚本でも惹き込まれるのだ。
よくよく考えたら、半日ぐらいの話なのに内容がとてつもなく濃い。
調査のために潜水艇で探索中にサメに襲われる。JKみたいなのも紛れ込んでおり、危機的状況にもかかわらず、「数キロ先の拠点に移動しよう」とすぐさま行動に移し、サメを始めとする深海生物、モンスターに襲われても意気揚々と神エイムと筋肉でねじ伏せていく。テロリストも自力で水深数キロの世界から脱出し、地上でもサメなど敵ではないかのように作戦を実行していく。なぜか、舞台はビーチへと移り、パリピが次々と血祭りになっていく。その中でワンコが戦いに参戦したりする中、ステイサムと愉快な仲間たちが連携プレイで救助活動をする。幾つもの難ステージを攻略しているので、主要キャラクターはボロボロ血だらけになっているはずなのに、ステイサムの深い傷はなぜか浅くなっており、他の人物も顔に少しの汚れや傷がついているだけでピンピンしているのだ。本当に怖いのは人間というのを爆笑の中、学んだ。『アバター ウェイ・オブ・ウォーター』後半パートが好きな私にとって夏休み最高のご褒美映画であった。
※映画.comより画像引用