【MUBI】『Models』モデルはトイレで塞ぎ込む

Models(1999)

監督:ウルリヒ・ザイドル
出演:Viviane Bartsch,Tanja Petrovsky,Lisa Grossmann etc

評価:60点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

MUBIでウルリヒ・ザイドルの日本未公開作品『Models』が配信されていたので、通勤中に鑑賞した。

『Models』あらすじ

Vivian, Lisa, Tanja. Three models, three girlfriends, three rivals. Constantly searching to advance their careers, find the right man, and achieve the ideal body, the three girls move from one casting call to another, wait in vain for bookings, and spend their nights going from disco to disco.
訳:ビビアン、リサ、タニヤ。3人のモデル、3人のガールフレンド、3人のライバル。キャリアアップのため、いい男を見つけるため、理想的なボディを手に入れるため、3人の少女は常にキャスティングコールを渡り歩き、ブッキングをひたすら待ち、夜な夜なディスコを渡り歩く。

MUBIより引用

モデルはトイレで塞ぎ込む

冒頭がとにかく強烈だ。モデルが鏡をみている。それを正面から撮るため、我々には表情が見えない。「モデル」あるいは「女性」という属性でしか彼女を捉えることができず、これだけでは個について知ることはできない。そしてこの鏡は風景と同化するようなデザインをしている。これにより、群として押し込められる人を的確に表している。この表現自体はルネ・マグリットの「人の子」の応用であると容易に想像できるが、その作り込みの鋭さにノックアウトさせられる。

映画は仕事のために枕営業をするモデルたちを捉えている。明らかに親密ではないベッドシーン。男のいる方に陽光があたり、女の方には翳りがある。彼はアンニュイな気持ちで彼女を相手にするが、そこに焦りのようなものが少し滲み出る。映画は反復表現としてトイレで塞ぎ込む女性たちを映していき、煌びやかな芸能界の暗部に押し込められる状況を炙り出す。なるほど、ウルリヒ・ザイドルが『推しの子』を撮るとこうなるのか。ワンシーンワンカットの重厚感で描かれる業界の闇ものであった。

※MUBIより画像引用