『PADRE PIO』アベル・フェラーラの聖人は政治だ

PADRE PIO(2023)

監督:アベル・フェラーラ
出演:シャイア・ラブーフ、クリスティーナ・キリアック、マルコ・レオナルディetc

評価:40点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

日本ではホン・サンスの異様な製作本数が話題となっているが、アベル・フェラーラも負けていない。日本ではすっかり紹介されなくなった監督だが、コロナ禍だろうと毎年数本ペースで作品を発表している。彼は、信仰を失ったかのように見える年における信仰をテーマにすることが多く、クズ男の活動の中に見える救いを求める眼差しが好きだったりする。さて、今回はそのテーマにより踏み込んでいる。教会を舞台にした作品だ。期待して観たのだが、予算不足なのかかなり観辛い作品となっていた。

『PADRE PIO』あらすじ

WWI has ended but events surrounding the first free election in Italy threaten to tear the village apart. Padre Pio struggles with his own personal demons, ultimately emerging to become one of Catholicism’s most venerated figures.
訳:第一次世界大戦は終結したが、イタリア初の自由選挙をめぐる出来事が、村を引き裂こうとする。ピオ神父は個人的な悪魔と闘いながら、最終的にはカトリックで最も崇拝される人物のひとりとなる。

IMDbより引用

アベル・フェラーラの聖人は政治だ

第一次世界大戦末期を舞台にサン・ジョヴァンニ・ロトンドにやってきたピオ神父を描く。彼は、人々の悩みに耳を傾け、救済しようとする。聖職者として全うしようとするのだが、戦争や政治の騒乱に巻き込まれていき大虐殺が発生していく。今まで、信仰を失ったような都市像を描いてきたアベル・フェラーラ。そういった地の中心に教会を置き、外部との接続で困惑する神父像を炙り出す。アベル・フェラーラなりのアプローチで『田舎司祭の日記』をやろうとしていることが分かる。これだけ聞くと面白そうなのだがら、『Zeros and Ones』同様、予算不足か撮影における障壁が多かったのか、全体的に画が汚く、スローモーションや寄りのショットで誤魔化しているような部分が目立った。折角の大虐殺シーンも、珍妙な角度から撮っているのだが、あまりハマっていないような気がした。教会が信仰外の政治や戦争と絡んだ時に、敬虔な者はどのように感じるのか。このテーマはまた別の機会で掘り下げてほしいなと感じた。

※MUBIより画像引用