『交換ウソ日記』恋愛が複雑骨折!?

交換ウソ日記(2023)

監督:竹村謙太郎
出演:高橋文哉、桜田ひより、茅島みずき、曽田陵介、齊藤なぎさ、板垣瑞生etc

評価:80点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

先日、Instagramのフォロワーさんから現在公開中の青春キラキラ映画『交換ウソ日記』をオススメされた。青春キラキラ映画は日本流スクリューボールコメディだと思っていて、通俗ながらもそこにユニークなギミックが濃縮されていることが多い。早速、仕事終わりに映画館へ行ってきた。これが面白かった。

『交換ウソ日記』あらすじ

櫻いいよの大ヒット小説「交換ウソ日記」を映画化した青春ラブストーリー。

高校2年生の黒田希美は、移動教室の机の中に「好きだ」と書かれた手紙が入っているのを見つける。送り主は学校で一番の人気者・瀬戸山潤で、希美はイタズラかと戸惑いながらも返事を靴箱に入れる。その日から2人の秘密の交換日記が始まるが、実は瀬戸山からの手紙は、全て希美の親友・松本江里乃宛てのものだった。しかし希美は本当のことを言い出せず、そのままやり取りを続けてしまう。交換日記を通して瀬戸山のことを知るうちに、次第にひかれていく希美だったが……。

「仮面ライダーゼロワン」の高橋文哉が瀬戸山、「ういらぶ。」の桜田ひよりが希美を演じる。「ハニーレモンソーダ」「PとJK」の吉川菜美が脚本を担当。

映画.comより引用

恋愛が複雑骨折!?

本作はなんといっても板倉陽子の業とカラーリングや編集の技術力の高さによって青春色が熟成されている。眩いような光、青を基調とした世界の中で、思春期男女のぎこちない運動を捉える。身体に収まり切らないほど溢れんばかりの力。しかし、恥ずかしさや他者を思うことでブレーキがかかる。それにより漫画のようなカクついた運動が発生する。これを漫画的に落とし込む。例えば、靴箱をヒロインがキョロキョロする場面。最初、彼女は靴箱前方を通り過ぎる。しかし、瞬間移動したかのような速さで、二列目からひょこっと顔を出す。映画はアナログ的に撮るが、画はデジタル的挙動をする。映画が漫画に近づいた瞬間といえよう。

こういった、アナログ/デジタルがぎこちなく共存する中で、恋愛の複雑骨折を描く。直接想いを伝えられない男が生徒会の女に愛を伝えようと日記を投函するが、それを放送部の女が拾う。彼女はコミュ障故に、その日記でなりすましを行う。これが修羅場を次々と生み出していく。距離感が掴めないからドンドンと事態が悪化していくのである。徹底したぎこちなさは、青春キラキラ映画あるある「感情が高まると横移動で走る姿を捉える」にも反映されており、もっさりとした女の走りを提示した後に、男の走りを見せていくのだが、これもカットを割ったり、画を重ねたりと歪なシーンに仕上がっていた。演出面で興味深い一本であった。

※映画.comより画像引用