MARS EXPRESS(2023)
監督:Jérémie Périn
出演:Léa Drucker,Mathieu Amalric,Daniel Njo Lobé etc
評価:75点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
第76回カンヌ国際映画祭にて上映されたフランスのSFアニメーション映画『MARS EXPRESS』が面白そうだったので観たのだが、想像以上に『ブレードランナー』であり『攻殻機動隊』で笑った。ということで感想を書いていく。
※2024年の新潟国際アニメーション映画祭コンペティションに選出されました!
『MARS EXPRESS』あらすじ
Acceptance of Differences between robot and human. human Aline struggles with alcoholism,bearing-the consciousness of a dead-man partner Carlos cannot rebuild the broken family his namesake left behind.
訳:ロボットと人間の違いを受け入れること。人間のアリーンはアルコール依存症と闘い、相棒のカルロスは死んだ男の意識を背負い、同名の男が残した壊れた家族を再構築することができない。
フランスから生まれたブレードランナーあるいは攻殻機動隊
AIロボットが当たり前のように人間社会に溶け込む未来世界。人間の一部はこの状況をよくないと思いデモを行っている。そんな中、エージェントのアリーンはアルコール依存症を患いながらターゲットを追う。相棒はサイボーグのカルロスだ。やがてとある陰謀と対峙することとなる。人間かアンドロイドか分からなくなっている社会で、ターゲットのアンドロイドを探して抹殺していく様子は『ブレードランナー』そのものであり、アリーンとカルロスのコンビは草薙素子とバトーを彷彿とさせる。なので、物語的にはオマージュの域を超えてパクリみたいに感じる部分もあるのだが、バンド・デシネの質感で展開されるアクションと空間構図がとても良いので嫌な気にはならない。
例えば、序盤の追跡シーン。ターゲットの追い込みに失敗し、窓から逃げられてしまう。アリーン一味は窓から追いかける。仲間はサイボーグなので、高所から落ちても大丈夫だろうと思ってしまう。つまり高低差による恐怖が和らいでしまうのだが、それを再び恐怖のベクトルへ引き上げるため、地上をAI反対勢力の海に設定し、落ちた味方サイボーグをリンチに合わせる演出が施されている。アリーンが窓から追跡する場面では2Dから3D、客観から主観へとカメラを変化させることで没入感を与えている。このような繊細なギミックが鋭く観ていて楽しい。
全編がバキバキに決まっているため、アートブックが欲しくなるほどだ。そして、なによりも電源が入るとホログラムの顔が浮かび上がり、頼れる味方として活躍するカルロスがカッコ良すぎて個人的にツボであった。この手のアニメーションは日本にはなかなか来ないイメージがあるのだが、好きな人は多いと思われる。