テリファー(2016)
Terrifier
監督:ダミアン・レオーネ
出演:ジェナ・カネル、キャサリン・コーコラン、マーガレット・リードetc
評価:80点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
「全米が吐いた!?」
2023年ベストキャッチコピーは恐らく、『テリファー 終わらない惨劇』だろう。「全米が泣いた」とジャンル映画につくタイプのキャッチコピーに対してユーモラスに外していくこれは、『テリファー 終わらない惨劇』がジャンル映画でありながらも予想を裏切る世界を観客に提示することを予見させる。ホラー映画が苦手な私も思わず「観たい!」と思った。本作は続編とのことなので、予習で前作に触れてみた。
『テリファー』あらすじ
あらゆる非道な手段で人々を血祭りにあげていく不気味なピエロ、アート・ザ・クラウンがもたらす恐怖を描いた残虐ホラー。「マミー VS フランケンシュタイン」などを手がけたデイミアン・レオーネの長編監督第3作。
ハロウィンパーティの帰り、タラとドーンは酔いを覚ますためダイナーに立ち寄る。するとゴミ袋を担いだピエロメイクの男が店に入ってきて、どういうわけかタラに熱視線を送り続ける。タラはその様子を不気味に感じるが、しばらくすると男はトイレで何か問題を起こしたようで店を追い出される。ほどなくしてタラとドーンも店を出るが、止めておいた車がパンクしていた。タラは姉に電話して迎えにきてもらうことにしたが、その裏でピエロメイクの男がダイナーの店員を殺害していた。そしてそこから、タラは一晩中ピエロメイクの男に追われるはめになる。
2016年にアメリカで限定的に公開され、コアなファンによる口コミが広がったカルト的な一作。日本でも劇場未公開だったが、2023年に続編の「テリファー 終わらない惨劇」が劇場公開されることを受けて、本作も急きょ劇場公開される。
そのピエロ、凶悪につき
人々は得体の知れないものと対峙する時恐怖する。暗闇だったり、対話不能な幽霊、怪物に怯えるのだ。『テリファー』はその本質をついた上で、どこまでグロテスクな惨劇を展開できるのかを追い求めた作品である。飲食店に女が二人食事をしようとしていると、ピエロのコスプレをした男が入ってくる。ガッツリ女たちを見つめてくる。そんな彼に挑発返しをする。だが、彼は一切応じない。店員の注文取りにも応じない彼は追い出されてしまう。しかし、思わぬタイミングでピエロは復讐を始める。喜怒哀楽の表情、緩急つけたアクションだけで追い詰めていく。自信ありげにゆっくりにじり寄る、血祭りにあげている際に笑っているのに、その声は聴こえない。もはやサイレント映画のような運動を行うピエロの徹底っぷりに美学を感じる。それはやがて恐怖からカッコ良さへと発展していく。女を解体する際の捌き方はもちろん、弱っていると見せ掛けてジェームズ・ボンドさながらの銃捌きを魅せていく。これは確かに2010年代を代表とするホラー映画であった。
※映画.comより画像引用