【Netflix】『群がり』生き血を吸った食用イナゴを作るぞ

群がり(2020)
原題:La nuée
英題:The Swarm

監督:ジュスト・フィリッポ
出演:スリアン・ブラヒム、ソフィアン・カーメ、マリー・ナルボンヌ、ラファエル・ロマン、ステファン・カスタングetc

評価:60点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

第76回カンヌ国際映画祭ミッドナイト・スクリーニング部門でジュスト・フィリッポ監督『ACID』が上映される。本作は、人を溶かす酸性雨の恐怖を描いた作品で元々あった短編をギヨーム・カネ主演で長編化したものである。ジュスト・フィリッポ作品はNetflixでイナゴ襲来映画『群がり』が一時期話題となっていたので観ることにした。

『群がり』あらすじ

イナゴの養殖で生計を立てるシングルマザーが狂気に陥っていく様子を描いたフランス製ホラー。フランスの田舎町で農場を営むヴィルジニーは、高タンパク食品であるイナゴの養殖をしながら、2人の子どもを育てている。しかしイナゴが思うように繁殖せず生活は困窮し、思春期の娘との関係も悪化。そんなある日、ヴィルジニーはふとしたことから、イナゴに血を与えると活性化し繁殖が上手くいくことに気づく。ドラマ「不感地帯」のスリアン・ブラヒムが主演を務めた。Netflixで2021年8月6日から配信。

映画.comより引用

生き血を吸った食用イナゴを作るぞ

イナゴ農家を営むヴィルジニーは悩んでいた。イナゴがうまく育たない上に、業者に安く買い叩かれてしまうからだ。娘も、SNSで同級生に悪口を言われているようで関係が悪化している。そんなある日、イナゴ小屋で怪我をしてしまう。自分の血を吸ったイナゴは、スクスクと育っていることに気づくと、家族に内緒で自分の血を分け与える。危険な育成をする中、悲劇が起きてしまう。

殺人イナゴが小屋から飛び出し国家規模のパニックを引き起こすのかと思いきや、小規模な混乱に留まっているので肩透かしを食らう内容になっている。虫パニックものは、個と群を用いた流体的アクションからホラーに繋げていくのが鉄則である。例えば、車に隠れていても、小さな隙間からイナゴが侵入し、人を捕食するみたいな描写が必要なのだが、このイナゴ軍団は諦めが早い。なのでパニックものとして観るとイマイチかもしれない。

しかしながら、イナゴの育成描写がやたらと丁寧なのが面白かったりする。イナゴの調理方法を開発して世間からの嫌悪を払拭しようと努力する場面に始まり、イナゴの増加に合わせて、小屋を増設する。血の補給も最初は試行錯誤、傷つきながら行うものの、中盤ではより効率良く、ダメージ少なく血を与える方法を開発していく。恐らく、ジュスト・フィリッポ監督はパニック描写よりも、トラブルに対する再現性を高めながらフラグを積み上げていくことに関心が強いと思われる。実際に短編版『ACID』も17分程度の作品でありながら、酸性雨から逃げ回る描写は少なかったように思えた。

※映画.comより画像引用