好奇心(1971)
LE SOUFFLE AU COEUR
監督:ルイ・マル
出演:ブルノワ・フェルレー、レア・マッセリ、ダニエル・ジェラン、マルク・ビノクール、マイケル・ロンズデールetc
評価:60点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
「死ぬまでに観たい映画1001本」掲載のルイ・マル映画『好奇心』を観た。ルイ・マルといえば、中学時代に『鬼火』を観て、退屈すぎて苦手監督になってしまった人物。映画の世界はオープンワールドであるが、観るタイミングを間違えると大惨事になるものである。ようやく『好奇心』を観たのだが、これがまあまあ面白かった。
『好奇心』あらすじ
三人兄弟の末子ローラン(B・フェルー)は十四歳と六カ月、大人のような子供のような年頃である。トーマ(F・フェルー)とマルク(M・ウイノクール)の二人の兄はろくに勉強もしないで悪戯の限りをつくし、その余波はローランにまで及び、タバコやお酒まで覚えてしまった。ある日、学校の帰りがげに、ローランは母クララ(L・マッサリ)が、知らない男と車に乗っているのを見かける。ローランは不愉快だった。父(D・ジュラン)はあまり好きになれなかったが、若くて美しいママがしてくれるただいまやおやすみのキスはローランにとって何ものにも代えられない宝物だったのだ。そんな大好きなママは僕だけのママじやなかった……
※映画.comより引用
本よりも経験の方が大切なのよ
この映画は万引きから始まる。イキリちらしながら、街ゆく人に募金を迫り歩く少年。やがて、レコード屋に辿り着き、ひとりは店員の気を引き、もうひとりは急いでカバンの中にレコードをしまう。明らかに他の客にバレているのだが、無事万引きに成功する様子を、軽妙に描く。序盤は、少年の日常が描かれ、「ちこく、ちこく〜」とパンを咥えながら教会に出勤する様子などがコミカルで面白いのだが、段々怪しげな物語へと発展していく。本作はマザコン少年が少し大人になる話だったのだ。母を初め、いろんな女を渡り歩く。母も母で、「本よりも経験の方が大切なのよ」と言い始め、少年の悶々とした心を刺激しまくるのだ。しまいには、少年はブラジャーで絵を描こうとする始末。『鬼火』の陰惨としたイメージが強かったルイ・マルだったが、こんなに爽やか爽快に、少年のエロい感情を描けるんだと感動してしまった。こういう出会いがあるのが「死ぬまでに観たい映画1001本」の醍醐味である。
※IMDbより画像引用