炎(1975)
SHOLAY
監督:ラメーシュ・シッピー
出演:アミターブ・バッチャン、サンジーヴ・クマール、ヘマ・マリニ、ジャヤー・バッチャン、アムザード・カーン、ダーメンドラetc
評価:95点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
高校時代から10年以上探していたインド映画『炎(SHOLAY)』がJAIHOで高画質配信されていた。本作はインドで5年以上ロングランした作品であり、多くのインド映画に影響を与えたとのこと。高校時代、「101 CULT MOVIES YOU MUST SEE BEFORE YOU DIE」で本作を知った。ロバート・レッドフォードとジョン・トラヴォルタに扮した泥棒が警察と悪党を捕まえる話ってなんだ?と興味を抱くも、なかなか遭遇しないまま10年の時が経ってしまったのだ。今回、観てみたのだが想像を遥かに超えるアクション超大作であった。
『炎(SHOLAY)』あらすじ
2人組の泥棒ヴィールとジャイは、かつて勇敢な警部として名を馳せたタークルから呼び出される。警官を辞めて今は村長となったタークルの依頼は、彼の村を襲う盗賊の頭目、ガッバル・シンの生け捕りだった。やってきた村で、ヴィールは馬車の御者バサンティに惚れ、一方ジャイは、タークル家の嫁で未亡人のラーダーに心惹かれる。収穫期に穀物を奪おうと襲ってきた盗賊の手下3人を撃退した2人だったが、その後ホーリー祭に沸く村を、ガッバルに率いられた一味が再び襲撃する…。
ニセサツは裏も表も邪悪だって?
かつて警察官だった男タークル(サンジーヴ・クマール)は昔出会った泥棒について語り始める。列車で2人の泥棒を見つけるタークル。「お前は金のために働いているんだろ?」という泥棒に対して、「俺は危険を求めている。」と語る。「なら、俺らと同じだな。」と泥棒が言った矢先、強盗団に列車が襲撃されてしまう。呉越同舟、泥棒と警察官は戦う羽目になる。冒頭の大列車強盗の場面では、アクションが物語る。穴が空いていくドラム缶。それをぶちまけ、敵が燃料まみれとなる。泥棒は熱々の石炭に目をやる。これだ!と掬って投げて大爆発!サイレント映画が、画で物語ろうとしていたように『炎(SHOLAY)』もアクションだけで物語る。この手腕に惹き込まれる。
泥棒に助けられたタークルは、村の危機を救うために彼らを探そうとする。「悪党なんでしょ、ニセサツは裏表邪悪ではないか?」と警戒するものに、「コインの裏表のように悪の裏側は正義だ」と語り彼らを信じる。このお金の話が『炎(SHOLAY)』の物語面を強固なものとする。泥棒ヴィール(ダーメンドラ)とジャイ(アミターブ・バッチャン)は肝心な決め事をコイントスで決めていく。この正体がこの冒頭の会話と関係してくるのである。また、宿敵ガッバル・シン(アムザード・カーン)の処刑台が宿命の象徴として使われるところも味わい深い。タークル、ジャイが時空を超えて処刑台に引き寄せられ、ガッバル・シンと戦う。死の構図が次々と逆転しながら己の正義と対峙していく展開は熱いものがある。
そして、何よりもホーリー祭に注目してほしい。インドの伝統的な祭にホーリー祭がある。これはカラフルな粉を全身に浴びるもので、強烈なヴィジュアルが特徴的なのだが、本作はこの祭にフォーカスをあてている。村が色彩に染められていく中、ガッバル・シン一派が襲撃してくる。血なのか、粉なのか分からない禍々しい空間でのアクション。回転木馬に追いやられ、絶体絶命となった状況下での形成逆転。一抹の静寂から炸裂する蹴り、そして火花。これは圧巻のアクションであった。
これぞアクション、最高のインド映画であった。
P.S.拳銃使いのアミターブ・バッチャンが冴羽獠にしか見えず、『シティーハンター』好きにとっても熱いインド映画であった。
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