『BAD CGI SHARKS 電脳鮫』CGのサメは神出鬼没

BAD CGI SHARKS 電脳鮫(2019)
Bad CGI Sharks

監督:マジャマ
出演:マシュー・エルスワース、ジェイソン・エルスワース、マッテオ・モリナーリ、ジェン・リューetc

評価:40点


おはようございます、チェ・ブンブンです。

先日、映画系VTuber萩野ナイトさんの配信に出演した。その予習として、またVTuber界隈でよく行われる同時視聴配信文化を調べるために『BAD CGI SHARKS 電脳鮫』を同時視聴(アーカイブ)で観てみた。萩野ナイトさんはサメ映画の同時視聴をよく行うそうで、映画にコメントしながら映画体験を盛り上げていく。松永伸司の「ビデオゲームの哲学」によれば、映画や絵画を観る体験は「鑑賞」だが、ゲームをプレイする体験は「受容」であるとのこと。VTuberの動画を観る行為が、映画とは異なる感覚を刺激するのは「受容」の体験だからといえる。VTuberがリスナーの言葉を拾い、即興的に雑談が生み出される。例えアーカイブで観たとしてもライブ感が味わえる。つまり、一方的に提示されるのではなく、リスナーも主体的に世界に入ってくる体験がVTuber世界を取り巻いているのだろう。だからゲーム配信とVTuberは相性が良い。そして、映画の同時視聴は「鑑賞」の体験である映画を「受容」の体験に変化させ、VTuberの文化に馴染ませているのではないだろうか?

実際に配信を観ると、「血糊が薄いね」みたいな映画制作の現場にいた萩野ナイトさんならではのコメントが飛び出してくる。コミュニケーションしながら映画を楽しむ文化が同時配信なんだなと理解した。

閑話休題、ここからは『BAD CGI SHARKS 電脳鮫』について書いていく。

『BAD CGI SHARKS 電脳鮫』あらすじ

夢見がちな兄ジェイソンは、子供時代に兄弟で執筆したサメ映画の脚本を携え、仲違いしていた弟マシューのもとを訪ねる。しかしとある不思議な魔法の力で彼らの脚本が現実化してしまい、本当にサメに襲われてしまう事態に。「サメ映画のお約束」が次々と兄弟に降りかかる一方、ネット経由で知能を獲得したサイバー・ジョーズは人類に対する反逆を企てていた…!

Amazon Prime Videoより引用

CGのサメは神出鬼没

映画監督が観客に向かって語りかけるメタ的演出から始まる。普通の暮らしをしようとしているところに、夢見がちな兄が現れ、そこに映画監督が乱入。魔法のカチンコが壊れてしまったことによりCGのサメが暴走していくという話だ。映画は、日本の青春キラキラ映画ばりに横移動の走りをメインにサメの恐怖を演出しようとする。いくら昔に比べてCGコストが下がったとは言え、サメを召喚するには労力がいる。誤魔化しのテクニックとしてやたらと二人は走るのだ。

誤魔化し方の中で光る場面がいくつかある。

一つ目は、扉を閉めようとすると闇の中からサメがチラッと映り込む場面。男は部屋を抜けて裏口から出るが、パニクってしまっているので、明らかにサメがいる方向に走り出す滑稽さが面白い。

また、家の外側から撮る場面で、男が右に左に動き回ることでサメに苦戦している様子を表象している。目の前にはサメが映っていないものの、観客は脳内で補完されたサメの存在を感じるのだ。

とはいえ、メタに走ったものの哲学的部分が弱く退屈だったのは否めない。どうしても連続観賞すると拷問になりがちなサメ映画。これは同時視聴で観て正解だったと思う。


↑私が出演した回です。

※IMDbより画像引用