『Death of Nintendo』任天堂の死、それは冒険のはじまり

Death of Nintendo(2020)

監督:ラヤ・マーティン
出演:Noel Comia Jr.,アゴット イシドロ,Moi Marcampo,John Vincent Servilla,マイルス・カナピetc

評価:40点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

フィリピンで『Death of Nintendo』という作品が作られた。「任天堂の死」。なんてアグレッシブなタイトルだろう。しかも監督があのラヤ・マーティンと聞く。ラヤ・マーティンといえば、『A Short Film About the Indio Nacional』がカイエ・デュ・シネマ年間ベストに選出されたことで有名だ。また、ホームビデオの質感で5時間物語る『NOW SHOWING』の監督でもある。そんなフィリピンのアート映画監督が任天堂でどんな映画を作ったのかというと、ゆるーい子ども映画であった。

『Death of Nintendo』あらすじ

In the early 1990s, a teenager and his gang of friends enjoy their summer playing games as they grow up.
訳:1990年代初頭、ティーンエイジャーとその仲間たちが、ひと夏のあいだゲームを楽しみながら成長していく姿を描いています。

IMDbより引用

任天堂の死、それは冒険のはじまり

少年はファミコンの山をかき分け、スーパーマリオブラザーズ3をセット。ゲーム開始だ。テレサのステージ、タイムリミット迫る。部屋が揺れる。急かされているようにクリアを目指すがプッツン電源が切れてしまう。地震による停電でゲームは中断されるのだ。本作は、フィリピンのボンボンのゲーム生活を描いたゆるいドラマだ。ファミコンで友人とゼルダの伝説などをプレイするが、地震や家族に邪魔されてしまう。それを回避しながら遊ぶ姿は、ファミコン世代にとってもといゲームっ子にとっては少し懐かしさを覚えるかもしれない。

一方で、少年の無邪気な日々に力点を置いているので、映画としてはグダグダである。てっきり、停電でゲームができないから冒険に出る話かと思ったら、プールやファストフード店、広場で遊んだり、恋愛をする狭い範囲の物語であり、女の子と肝試しする展開に70分以上かけるのは正直、停滞しすぎではと思う。『NOW SHOWING』のスローな作劇を踏まえたら、『Death of Nintendo』は3時間ぐらいあってもいいのではと思ってしまう。割礼に行く後半20分のぶっ飛び具合が面白いため、なおさらだ。

さて、本作は思いの外退屈な映画であるが、演出として面白いところがある。それはマリオとゼルダの効果音が演出として使われている点である。例えば、少年たちがエロ本でマスターベーションする場面。なんとマリオがコインブロックを連続して頭突きする音を重ねてくるのだ。これは、日本公開できないなと感じつつも、本作の中で一番面白かった。また、メガドライブの登場で、少年たちの成長を物語らせる演出はゲームファンにとっては熱いものを感じた。

※IMDbより画像引用