GHOST WALK(2018)
原題:밤의 문이 열린다
監督:ユ・ウンジョン
出演:ハン・ヘイン、チョン・ソニ、イ・スンチャン、ホン・スンイetc
評価:70点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
日本未公開映画を開拓する者として誰も注目していない映画にも果敢に挑戦する必要があるなと、ブルーオーシャンの中を漁っていたら黒沢清映画のようなタッチで描かれる韓国映画を見つけたので観てみました。監督のユ・ウンジョンは本作でデビューしたのですが、将来的にカンヌ国際映画祭ある視点部門で大暴れしそうな予感がしました。
『GHOST WALK』あらすじ
Hye-jung works in a factory on the outskirts of the city. All she wants is to live alone in peace. One night, however, she finds she has become a ghost. As a ghost, she goes back in time, day by day, and tries to keep out of harm’s way.
訳:郊外の工場で働くヘジョン。彼女の望みは、一人で平和に暮らすこと。しかしある夜、彼女は自分が幽霊になっていることに気づく。幽霊になってしまった彼女は、一日一日をタイムスリップして、危険な目に遭わないようにしていた。
幽霊に明日はない
コミュ障で、他者と上手く関われない女ヘジョン(ハン・ヘイン)は繊維工場で働いているのだが、歩み寄ってくる人を受け入れることができず、いつも孤独を求めている。帰宅途中に一人の少女が佇んでいる。「助けて」と声をあげているのに、彼女は無視してしまう。
そんなある日、彼女はある異変に気づく。スーパーで買い物をする。蛍光灯をレジに持っていくのだが、店員は彼女に気づかない。「ねぇ」と声をかけると、手には蛍光灯を持っていない。急いで蛍光灯のあった場所にいくのだが、何度掴んでも、蛍光灯は元の場所に戻ろうとするのだ。そうです、彼女は死んでいたのです。それも誰かに殺されていたのです。
驚いたことに彼女が再び目を覚ますと、一つ前の日になっていた。何故か彼女は幽霊になった且つ逆行する時間の渦に呑み込まれてしまったらしい。絶望的な状況の中、誰が自分を殺したのかを探り始める。
ユニークなアイデアながらも、恍惚とした街の不気味な死の香りを丁寧に画面に封じ込め、死んだように生きる者が実際の死を通じて、生を意識し、やがて自分の人生に意味を見出していくプロセスに力強いものがあります。
単に黒沢清ショットを真似するのではなく、そこから発展させてどうやって幽霊の放浪を面白く描くのかに拘り抜いている為、一目観ただけで只者でない感じが伝わってきます。
逆行する時間描写に多少の無理はあるが、ユ・ウンジョン監督は2020年代注目の監督の一人であることは間違いありません。
※hollywood reporterより画像引用