【 #死ぬまでに観たい映画1001本 】『夏の嵐』お姉さん、その男オペラ観てないよ

夏の嵐(1954)
SENSO

監督:ルキノ・ヴィスコンティ
出演:アリダ・ヴァリ、ファーリー・グレンジャー、マッシモ・ジロッティ、ハインツ・モーグetc

評価:85点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

「死ぬまでに観たい映画1001本」掲載のルキノ・ヴィスコンティ映画観ました。ところで、昔映画のオフ会で「ルキノ・ヴィスコンティはヴィスコンテが正しい」と言っていた方がいたが、Luchino Viscontiをどう読んだら「ヴィスコンテ」となるのだろうか?海外の人の発音を見ても「ヴィスコンティ」としか聞こえない。ひょっとしてヴィスコンティの別名「Conte di Modorone」の「コンテ」と混ざっているのでは?とモヤモヤを抱えて早3年。誰か教えて欲しいと思いつつ、『夏の嵐』感想書いていきます。

『夏の嵐』あらすじ


オペラ的な要素とリアリズムを融合した絢爛豪華な時代絵巻。19世紀後半、オーストリア支配下のベネチアで出会った伯爵夫人と美しい青年将校。青年に恋をした伯爵夫人は、彼のために軍資金を横流しする。一途な愛を貫く伯爵夫人を演じたアリダ・バリは、ハリウッドでも活躍し、「第三の男」の恋人役で知られる。青年将校役は、ルキノ・ビスコンティの初監督作「郵便配達は二度ベルを鳴らす」で流れ者の主人公を演じたマッシモ・ジロッティ。
映画.comより引用

お姉さん、その男オペラ観てないよ

観客がビラを撒き散らす治安悪めなオペラ会場でオーストリア軍のフランツ・マーラー中尉(ファーリー・グレンジャー)と反占領軍運動の指導者ロベルト・ウッソーニ侯爵(マッシモ・ジロッティ)の決闘騒ぎが勃発する。従兄ロベルトを救うためリヴィア(アリダ・ヴァッリ)はフランツを桟敷に案内して説得を試みる。彼女は「オペラを劇場外でやる人。自分がオペラの主人公のように振る舞う男は嫌いだわ。」と言うのだが、フランツは彼女の話もオペラもそっちのけで彼女のことをジロジロ見ている。彼女が振り返る時だけ彼はオペラを見る。このシークエンスだけで、いかにフランツがクズかがよく分かる。そして皮肉にも、彼女の発言がブーメランのように返ってくるのがこの映画の肝である。結局フランツの密告でロベルトは流刑となり、そこから彼女はドンドン貧しくなっていく。それに合わせるようにフランツも映画が進めば進むほど見窄らしい格好へと成り下がり、化けの皮が剥がれてくるのだが、それでも謎の魔力に引き寄せられるようにリヴィアはフランツに献身してしまうのだ。

なんだか見ているとオンラインサロンに引っかかる人が脳裏でチラつきます。宗教やサロンで搾取されやすい人に、「完全に敵視している人」がある。完全に対象を拒絶していると、ふっと見せる人間味ある良さを目の前に完全なる拒絶を覆すこととなりドツボに嵌っていく。リヴィアの場合、フランツの人間性を完全に拒絶するところから入るが、彼の人間味ある優しさやら面白さに引き寄せられてとことん搾取される結果となりました。

なので『夏の嵐』は大人の教科書と言える。
※wikipediaより画像引用