約束のネバーランド(2020)
監督:平川雄一朗
出演:浜辺美波、城桧吏、板垣李光人、北川景子、渡辺直美etc
評価:55点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
2020年12月は毎週のように、危険な香りを漂わせた作品が公開される。『STAND BY ME ドラえもん2』、『新解釈・三國志』、『えんとつ町のプペル』とラインナップを見るだけで頭痛くなるのだが、有識者によると『君は彼方』とか『サイレント・トーキョー』といった作品も地雷だったりするらしい。その一本として『約束のネバーランド』実写版がある。白井カイウ×出水ぽすかの同名ジャンプ漫画の映画化だ。漫画はあまり読まない私も1巻は読了済みで、M・ナイト・シャマランやアメリカのB級映画、それこそ午後のロードショーでやってそうな趣きが興味深い内容であった。しかし、ファーストヴィジュアルを見て危険な香りがした。日本だとどうして「コスチュームプレイ」が「コスチュームレイプ」になってしまうのだろうか?どこぞの学芸会かと思う程に安っぽいファッションが目に猛毒でした。しかしながら、予告編を観ると『ホットギミック ガールミーツボーイ』の撮影監督・今村圭佑が頑張って『白い肌の異常な夜』っぽい質感を出そうとしている雰囲気や、渡辺直美、北川景子の迫真の演技が妙に引っかかった。というわけで、『ワンダーウーマン1984』を横に置き、観てきました。意外と面白かったですよ。
『約束のネバーランド』あらすじ
テレビアニメ化もされた「週刊少年ジャンプ」連載の人気コミック「約束のネバーランド」を実写映画化。自然の中に建てられた楽園のような孤児院「グレイス=フィールドハウス」。そこで暮らす子どもたちは、母親代わりの優しいイザベラを「ママ」と呼んで慕い、いつか里親に引き取られる日を待ちわびている。年長者のエマ、レイ、ノーマンも、外の世界で待つ幸せな暮らしを信じていた。ある日、里親が見つかり孤児院を去ることになったコニーを見送ったエマとノーマンは、彼女が大切にしていた人形を忘れて行ったことに気づく。コニーに人形を届けるため、近づくことを固く禁じられていた「門」へ向かった2人は、そこで無残にも命を奪われ、食料として出荷されるコニーの姿を目撃する。彼らが楽園だと信じていた孤児院は、実は「鬼に献上する食用児を育てる農園」で、ママは「最上級の食用児を育てる飼育監」だったのだ。全てが偽りだったと気づいたエマたちは、孤児全員を引き連れた無謀ともいえる脱獄計画に乗り出す。エマを「君の膵臓をたべたい」の浜辺美波、レイを「万引き家族」の城桧吏、ノーマンを「仮面ライダージオウ」の板垣李光人がそれぞれ演じる。「僕だけがいない街」の監督・平川雄一朗と脚本家・後藤法子が再タッグを組んだ。
※映画.comより引用
月とスッポンがビッグバンを引き起こす
映画仲間と先日話して、原作に忠実なことは良いことなのか?と議論になった。『鬼滅の刃 無限列車編』は原作の悪い部分である、説明台詞までも忠実に再現している。それはヒットの要因となった一方で、映画というフォーマットを見捨てている上に、漫画を映画として脚色する挑戦がない。とするならば、『約束のネバーランド』も漫画をそのままトレースしただけと言える。映画という動的メディアにもかかわらず、心情や行動原理を逐一解説する。誰もいないのに、自分の思惑を堂々と語ったり、マム・イザベラが目の前にいるにもかかわらずベラベラと大声で語り、重要なアイテムをチラつかせたりするのだ。観客の想像力を信じておらず、説明ゼリフを物語の推進力にしてしまう漫画映画の悪いところが如実に現れている。しかしながら、妙にこの映画は心地良いのだ。
そこに、黒沢清映画に出てくる魂が失われたようなオーラを放つ北川景子と、シスター・クローネに完全憑依した渡辺直美がモノホンの演技を叩きつけるので、映画全体に不協和音が轟くこと轟くこと。観る者はハラハラドキドキしながらこの演技合戦を見守るわけなのです。
だから、面白かった。B級ホラー映画のようにガバガバな脚本で、あれだけガソリン持っているのならマム・イザベラにぶっかけて燃やしてしまえば早かったのではと思ってしまう程にあの人間飼育場の警備がゆるかったりするのですが、ファストフード感覚で楽しめる映画でありました。
※映画.comより画像引用
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