『新解釈・三國志』ギョーカイ人の学芸会あるいは役者の為の公共事業

新解釈・三國志(2020)

監督:福田雄一
出演:大泉洋、ムロツヨシ、橋本さとし、高橋努、橋本環奈、岩田剛典、渡辺直美etc

評価:30点※ただし、本作は映画とはみなしていません

おはようございます、チェ・ブンブンです。

すっかり、言葉を聞くだけでアナフィラキシーショックを起こすようになってしまった福田雄一監督。以前、テレビかなんかのインタビューで映画作りを諦めてしまっていることを知り、尚且つそれを開き直ってしまっているような発言を聞いてからより一層拒絶反応が強くなってしまった。残念ながら、日本の映画業界において福田雄一は救世主のような存在であり、コロナ禍であっても『今日から俺は!!』をヒットされ、今回の『新解釈・三國志』と2月にに公開された『ヲタクに恋は難しい』の興行収入併せて100億円を突破しそうな勢いである。日本最大のヒットメーカーであり、『鬼滅の刃』の次に日本映画界を支える柱なのだ。そして、福田雄一の映画制作現場のVTRをみると、非常に良好な環境で映画製作が行われているようなのである。しかも多くの役者を起用するので、まさしく映画業界の公共事業なのだ。シルヴェスター・スタローンが『エクスペンダブルズ』でマッチョ俳優たちを救ったのと同じことを福田雄一はやっているのだ。この奇妙な現象はやはり年1ぐらいは定点観測しておきたいところ。

ただ、公開前に一つ妙なことが気になった。何故かバラエティ番組で大泉洋が「三國志ファンは観ないでください」「『キングダム』の方に出たかった」と嘆いているのだ。番組宣伝で来ているのに、映画が楽しくないようなことを匂わせているのです。これはどういうことだろうか?私はTOHOシネマズららぽーと横浜で確認してきました。

『新解釈・三國志』あらすじ


「今日から俺は!!」「勇者ヨシヒコ」「銀魂」シリーズなど数々のコメディ作品を手がける福田雄一監督が、日本でも広く親しまれている中国の「三國志」に独自の解釈を加え、今回が初タッグとなる大泉洋を主演に迎えて描いた歴史エンタテインメント。いまから1800年前、中国大陸では中華統一をめぐって「魏」「蜀」「呉」の三国が群雄割拠していた。そんな世に、民の平穏を願う武将・劉備が立ち上がる。劉備ら各国の武将たちは激動の時代を駆け抜け、やがて魏軍80万と蜀・呉連合軍3万という、圧倒的兵力差が激突する「赤壁の戦い」が巻き起こる。人々を憂い、人望も厚い人物として知られる劉備だが、実は……。劉備を演じる大泉のほか、ムロツヨシ、山田孝之、佐藤二朗、賀来賢人、橋本環奈、山本美月、岩田剛典、渡辺直美、小栗旬ら福田組おなじみの顔ぶれを含めてオールスターキャストが集結。さらに名優・西田敏行が、「三國志」の新解釈を講義する歴史学者・蘇我宗光役で福田作品に初出演した。主題歌は福山雅治が担当。
映画.comより引用

ギョーカイ人の学芸会あるいは役者の為の公共事業

いつも通り、友人一人もいない学園祭に紛れ込んだような居心地の悪さを覚える。クラスの人気者と思しき人が、内輪にしか通じないギャグをする。『三國志』を自分なりに面白おかしく解釈したぞ!といっても、ギャグは全てギョーカイの中で笑ってもらえるかにベクトルが向いていて腰抜けとなっている。効果音やギャグの間を使った笑いは確かにあるものの、基本的にぶつ切り。今時youtube動画でもあまりみない、雑なギャグと間のぶつ切りがノイズとなり、それを隠すかのように「ネバギバ★」「ヤバい」といったパンチのある言葉を何度も繰り返そうとしている。そして、小ボケを並べることに一生懸命となっている結果、物語の進みが鈍重に鈍重を極め、時速1cmカタツムリレベルでしか進まないのだ。確かに、孔明の閃きは実は妻によるものだったのでは?という説は三國志を知らない私の興味をそそるものであったのだが、いつも以上にグダグダで、もはや本作は映画ではないことを開き直っている腐敗臭しか漂っていなかった。

ただし、福田雄一なりの苦悩も垣間見れる代物であるのは間違いない。例えば、渡辺直美が恋罠に嵌める為の美人として起用される。彼女は「考古学的美人」という新たなレッテルを貼られた状態で恋罠を実行する。そして、現代では美人扱いだが、三國志の時代ではモテなかった存在としてある俳優をゲスト出演させることでルッキズム描写に挑戦しているのだ。下品で、旧時代的なことばっかり言わせているイメージが強い福田雄一ですが、今の価値観にアップデートしようとしている気概がそこにあり、そこは評価しなくてはいけない。とはいえ、渡辺直美というルッキズムと闘い世界に出た人に「ガイジン」と暴力的な言葉を言わせる酷い描写も多く相変わらずなのですが。

今回も、もはや映画とは言えない代物でワーストにすら入らないものだったのですが、想像以上に耐えられました。

※映画.comより画像引用

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