『SHE DIES TOMORROW』あんたも死ぬし俺だって死ぬ、、、だが今日じゃない

シー・ダイズ・トゥモロー(2020)
SHE DIES TOMORROW

監督:エイミー・サイメッツ
出演:ケイト・リン・シャイル、ジェーン・アダムス、ケンタッカー・オードリーetc

評価:20点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

「『ネオン・デーモン』みたいな色彩で「彼女は明日死ぬよ」と言い続ける虚無」、「何故か『DESERET』のジェームズ・ベニングが台詞ありで出演している」といった情報が私の耳に入る映画『SHE DIES TOMORROW』を観てみた。最近のホラー映画の潮流に、哲学、心理学、社会問題をメタファーにした作品群というものがあり、その真理にたどり着けたかどうかで賞が獲れたりする。『触手』をはじめとして、この手の厄介なホラー映画はヒューマントラストシネマ渋谷恒例企画《未体験ゾーンの映画たち》で取り上げられることが多い。本作は恐らく来年の祭に来るであろう。そして、本作はメチャクチャ面倒臭い作品でありました。

『SHE DIES TOMORROW』あらすじ


Amy thinks she’s dying tomorrow…and it’s contagious.
※エイミーは明日死ぬと思ってる、、、それは伝染するだろう。

あんたも死ぬし俺だって死ぬ。みんないつか死ぬ、、、だが今日じゃない

ゲーテは自分の憂鬱を吐露した『若きウェルテルの悩み』を出版したが、その憂鬱は伝播し、自殺ブームを巻き起こした。センセーショナルな出来事は伝染力を持っているらしい。その伝染力を扱った本作は、メタファー映画『アップストリーム・カラー』に出演しシェーン・カルース監督の世界観に触発されたであろうエイミー・サイメッツが不器用に心象世界を扱い、結果としてダサく失敗している印象に満ち溢れた作品だ。

冒頭20分近く、ドロドロっとした血液を覗き込んでいるようなサイケデリックな映像と暗闇を映し出し、彼女の憂鬱さを描く。そして彼女が「私、明日死ぬよ。」というセンセーショナルな発言が、周囲の人を不安にさせ混乱を招くのだが、「センセーショナルな出来事は伝播する」という有名な現象を小難しく前衛的な映像と表面的な台詞の掛け合いで描いているだけに過ぎず、単なる中身のない映画である。

精神的、孤独の手数で言えばトッド・ヘインズが『ケミカル・シンドローム SAFE』で描いてみせたように、蜜の中心に主人公を置いているのに、うっすら見える周囲の壁ある態度の重ねがけといった技を分析した方が良い。ベタではあるがアラン・レネの『去年マリエンバートで』なんかも人の心理的距離感の表象に成功していると言える。

とにかく、80分しかないのに小手先の前衛で心理現象の真理を語った気になっているしょうもない映画でした。

※画像はIMDbより引用

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