鬼手(2019)
監督:リ・ゴン
出演:クォン・サンウ、キム・ヒウォン、キム・ソンギュンetc
評価:85点
おはようございます、チェ・ブンブンです。日本では藤井聡太が魅せる終盤の1分将棋が多くの人を熱狂させているが、韓国では「囲碁の世界」でその熱気を感じられるらしい。
現在、シネマート新宿で公開されている『鬼手』は、囲碁の鬼となった男が次々と人間離れした囲碁の達人を血祭りにあげていく話らしい。しかも《碁》で決着がつかねば《拳》で決着つける狂いようなのだとか。実は本作は数年前に話題となった『神の一手』の続編である。残念ながら前作は未観なのですが、妙な魅力を感じて観て来ました。これは是非とも事前に予告も何も入れないで観て驚いて欲しいのでネタバレ記事とします。別に前作履修しなくても問題ありませんよ。
『鬼手』あらすじ
「探偵なふたり」のクォン・サンウ演じる孤高の天才棋士が囲碁バトルを繰り広げるバイオレンスノワール。父が自死し、母にも捨てられた貧しい少年グィス。最愛の姉をも失い、天涯孤独の身になったグィスが厳しい現実を生き抜く唯一の手段は、生前に父から伝授された囲碁だった。ある一匹狼の棋士にその才能を見込まれたグィスは、山寺での猛特訓によりその潜在力を開花し、心身ともにたくましい大人へと成長する。下山後、数々の裏社会の凄腕棋士たちを撃破したギスは、姉を死に追いやった最強棋士ファン・ドギョンへの復讐を果たすため、人生のすべてを懸けた戦いに身を投じる。クォン・サンウがグィスを演じるほか、「アジョシ」のキム・ヒウォン、「ゴールデンスランバー」のキム・ソンギュン、「犯罪都市」のホ・ソンテ、ドラマ「ザ・キング 永遠の君主」のウ・ドファンらが顔をそろえる。
※映画.comより引用
碁と拳が生み出す鬼滅の刃が猛威を振るう
狡猾な棋士ファン・ドギョンに「てめーに碁の才能はねぇよ」と煽られ、怒りに燃えるグィスは、北京に上京し、そこで才能に気づいた男に導かれ山で修行する。1局終えるごとに石を積み、5秒で棋譜を覚え、脳内で碁の試合を完成させる過酷な特訓をし、遂に下山する。師匠の賞金稼ぎに付き合うことになった彼だったが、師匠は殺されてしまう。そこから憎悪をさらに募らせ、筋肉隆々とした肉体を手にし、鬼滅の刃を背負った彼は次々と血祭りにあげていく…。
本作は、映画的面白さに全振りした作品であり、ストーリー展開はまるでアニメのダイジェスト版のように爆速で進行する。これから対峙する人は、カッコいいゲームのオープニング風映像で流し、あとは説明いらないでしょと次から次へと闇の棋士に勝負を挑んでいく。顔芸占い師と真っ白い碁石だけで勝負を始めたり、線路の上で戦ったり、カイジさながら、碁石を一定量取られたら猛毒スプレーが放出される専用機で勝負したりと、碁に取り憑かれ人間やめた者同士の戦いはいちいち観客を笑わせて来ます。
万が一、碁で勝負がつかなければ拳で勝負をつける大出血サービスもあり、申し訳程度に碁石を装備しながら死闘を繰り広げるクォン・サンウの魅力に否が応でも魅了されます。そんな超展開を魅せる『鬼手』だが、注目すべきはクライマックスだ。
一度に20人のプロを相手に囲碁をしても圧勝してしまう魔王ファン・ドギョンに対して、「ハンデをやろう、俺は100人と同時に戦ってやるよ」と交渉しはじめ、100人の棋士が並ぶ空間で10手ずつ碁を打っていく、地味ながら過酷なラストバトルはもう文句なしに爆笑である。何故、魔王相手にそこまでハンデをしなければならないのだろうか。既に、直前での拳と拳をぶつけ合う死闘で全身ボロボロなのに、100人を1人ずつ丁寧に血祭りにあげていく姿は映画史どこを見渡しても存在しない唯一無二の迫力があります。
しかも、碁で決着をつけておきながら、自殺を促しファン・ドギョンを抹殺していくオーバーキルをみせていきます。こんなにもエンターテイメントに振り切っていて楽しい作品が休日のシネマート新宿でガラガラとは悲しい。この夏一番オススメな作品でありました。
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