読書感想文にオススメしたい10冊〜不思議の国のアリス、モモetc〜

読書感想文にオススメしたい10冊

おはようございます、チェ・ブンブンです。

みなさん、夏休みいかがお過ごしでしょうか?
社会人の夏休みは終盤に差し掛かってきており、会社に行きたくないと思う日々です。さて、小中高生の夏休みの宿題の定番と言えば《読書感想文》があります。意外と嫌いな人が多いこの課題ですが、面白い本を選べば楽勝な課題だったりします。今や毎日ブログ記事を書いている私は、タイムスリップして気合のこもった読書感想文を書いてみたいものです。さて、読書感想文のネタにお困りな方に向け、面白くて書きごたえのある小説を10冊選んできたので参考にしてみてください。

1.パパラギ はじめて文明を見た南海の酋長ツイアビの演説集(ツイアビ、エーリッヒ・ショイルマン)

あなたは、見たこともないものを目撃した際にどのように友だちにそれを伝えていますか?

サモアの長がヨーロッパ訪問した際の驚き語った演説をまとめた設定で描かれる本作は、インスピレーションが掻き立てられます。例えば、我々が何気なく暮らしている家もサモアの人からすると、《箱》の中にさらに《箱》があってその中で窮屈そうに暮らしているように見える。また、靴の文化がない人にとって、靴を履くことは異質に見えるのだ。このように、我々が常識だと思っていることを、その常識がない世界から見たらどのように言語化されるのかというアイデアが面白く気がついたらあっという間に読み終えてしまいます。刺激の少ない今にオススメな一冊です。

2.動物農場(ジョージ・オーウェル)

コロナのストレスで人々がいがみ合ったり、明らかにおかしい政治が展開されている今こそ読んでほしい一冊です。

ジョージ・オーウェルと言えば『1984年』が有名ですが、こちらも非常に怖い傑作であり、人間を敵視し《動物農場》という小さな国を作るのだが、段々と一つずつ制約を設けていくことで独裁政治ができあがっていく怖さが描かれています。動物の世界の話なのですが、読み終えてふと現実を振り返っていくと、少しずつルールを変えて市民を苦しめていく日本を思わせるところがあり、非常に勉強になります。

3.アウステルリッツ(W.G.ゼーバルト)

建築史家アウステルリッツの膨大な知識による解説から歴史が紐解かれていく作品。あなたは観光地に行くと、美しい建築造形や景色に感動し、写真に撮り、SNSに上げるだろう。しかし、その美しさや歴史的趣には、酷使された労働者や酷い拷問が層のように積み重なっていたりする。W.G.ゼーバルトは、建築物の造形から時と記憶を遡り、言葉と国と名前を失った自分と対峙します。英語やフランス語、ドイツ語にチェコ語と自分に密着しない言葉を使って歴史という自分に密着した事柄を語ろうとする姿に泣けてくる作品です。

4.不思議の国のアリス(ルイス・キャロル)

ディズニーアニメにもなっているサイケデリックでシュールな本作は、その奇抜性ばかり取り沙汰されるが、実は非常に書きごたえのある作品です。そして『千と千尋の神隠し』や『猫の恩返し』、はたまた昨今の《なろう系》ライトノベルにも通じるところがあります。それはズバリ、子どもが成長する過程で抱く違和感や閉塞感である。アリスは、飲食を通じて身体の大きさを変化させられるが、鍵を開けられないぐらい小さくなってしまったり、家から出られないくらい大きくなってしまう。精神と身体がコントロールできない息苦しさがそこにあります。また、冒頭の退屈な読書シーンに始まり、理解不能なお茶会シーン、そして不条理に満ち溢れた裁判シーンは幼少期から見た
大人の世界を表象していると捉えることができます。この短い混沌を分析することはきっと充実した読書感想文へ繋がることでしょう。

5.希望の国のエクソダス(村上龍)

経済が停滞し、閉塞感が包み込む中、怒れる中学生が蜂起し国を作ろうとする作品。本作は、現代の姥捨山を作ろうとしたり、非常に過激な内容となっているのだが、良き国を作りたい魂とその暴走がリアルに描かれている作品でもある。日本では「コロナはただの風邪だ」とクラスターフェスを引き起こす異端児が現れたり、アメリカでも過激なBlack Lives Matter勢力が湧き出たりするが、それはどういうことなのかを理解する上でも重要な一冊と言えます。

6.モモ(ミヒャエル・エンデ)

社会人になる前に読んでほしい一冊。

社会人になると目の前の仕事に忙殺され、生きる気力を失いがちだが、本作を読むとそれはある種の《時間泥棒》のせいなんだと気付かされます。人はお金だけではなく時間を消費して生きている。お金とは違って、時間は誰しも等しく与えられており、それをどう使うかで自分の人生が決まってくるのだが、現代人は知らず知らずのうちに時間が奪われてしまっている。そういうことをミヒャエルエンデは教えてくれるのです。

7.マーティン・イーデン(ジャック・ロンドン)

貧しい船乗りが恋に落ち、必死に勉強してライターになり、そして小説家を目指す本作は勉学は万人に解き放たれており、その気になることによって幾らでも道が開けることを教えてくれます。最初は、文字すら読めなかった彼が、船乗りの知識を駆使して少しずつ知識を拡張させていき、その過程で出会う人とのコミュニケーションを通じて様々な世界を行き来する術を身につけていく様はもっと早く知りたかったと思う。また、100年前の作品であるにもかかわらず、マウントの取り合いやスランプに悩む様は現在と変わっておらず普遍的な人間の苦悩を感じ取り共感することでしょう。

8.オン・ザ・ロード(ジャック・ケルアック)

映画化もされた伝説的旅小説。社会のレールに争うようにアメリカを横断する。その先々でアルバイトをしたり、奇妙な一期一会を堪能しながら人生を爆走させていくが、段々と家族ができたり、将来の道ができていき、旅仲間との間に溝ができていく過程は大人になると苦く切ないものがあります。あれだけ仲良く無軌道に遊んでいた者たちも熱が冷めまともになっていく。そして気がついたら荒野を失踪しているのは自分一人だけとなる。ジャック・ケルアックは点の物語を繋いでいく過程で、こうした旅の終わり、青春の終わりの苦味を演出するのが上手い作家だなと思う。『深夜特急』が好きな人は影響受けるはずです。

9.初恋(イワン・ツルゲーネフ)

ジナイーダに想いを寄せるウラジーミル。彼は、彼女を取り巻く多くの男を前に「俺なんか」と引っ込んでしまっているが、そんな彼の想いをジナイーダは知っている。ウラジミールの気づかない恋の真相にもどかしさを感じる本作は、青春の甘酸っぱい恋の駆け引きを描いた傑作である。本作を読むと、大事な瞬間を恥ずかしさから逃してしまうことがいかに愚かなことかが分かります。『若きウェルテルの悩み』同様、淡い恋の蜜を味わいたい時にオススメな一冊です。

10.本好きの下剋上 第一部「兵士の娘I」(香月美夜)

最近の読書感想文は、ライトノベルも許容されるとのこと。ライトノベルから私が選ぶとすれば『本好きの下剋上 第一部「兵士の娘I」』だろう。図書館に就職することが決まったヒロインは、不慮の事故で亡くなり、異世界へ転生する。本が高価で、市民が触れることのできない世界で、大好きな本を作るために奮闘するこの作品は、文学や紙がどのような過程で生み出されてきたのかを一人の女性の奮闘を通じて語り尽くしたもので、文学史への好奇心が掻き立てられます。また、転生前の世界にしかない言葉は、転生先の世界では判読不能な言葉として聞こえてしまうという本の特徴を活かした表現で異文化コミュニケーションを描いており、興味深い内容となっています。
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