【 #死ぬまでに観たい映画1001本 】『再会の時』アラサー以降、過去を食いつぶす時

再会の時(1983)
The Big Chill

監督:ローレンス・カスダン
出演:トム・ベレンジャー、グレン・クローズ、ウィリアム・ハートetc

評価:75点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

『死ぬまでに観たい映画1001本』に掲載されているローレンス・カスダン監督作『再会の時』を観ました。ローレンス・カスダンといえば、『スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲』の成功以降数多くのシリーズ脚本を手がけ、それだけではなく『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』や『ボディガード』といったヒット作を手がけている名脚本家。彼は脚本家だけでなく監督も何本か務めており、本作はその中でも傑作と名高い作品だ。ただ、豪華キャスト会話劇にありがちな非映画的もとい演劇的手法からFilmarksでは評判が高くない。実際に観て確かめてみました。

『再会の時』あらすじ


かつて学生時代を共に過ごした友人たちが一人の仲間の死をきっかけに再び一堂に会し、それぞれ現在の身の上を語り合いながら昔を偲ぶ姿を描いたヒューマン・ドラマ。
Yahoo!映画より引用

アラサー以降、過去を食いつぶす時

旧友アレックスが死んだ。その葬式のために大学時代の友人たちが集まってくる。アレックスを《過去》へ導く存在としてのマクガフィンへ仕立て上げるためにアレックス役のケヴィン・コスナーは登場しない。この的確な選択によって映画は強固な過去を女々しく舐め回す者の話へとなっていく。どういうことだろうか?ローリング・ストーンズの”You Can’t Always Get What You Want”がピアノ演奏からミック・ジャガーの肉声へとシフトし、奇妙なことに送別式参加者はテラスハウスがごとく共同生活することになる。

ミックジャガーが、
You can’t always get what you want
But if you try sometimes well you might find
You get what you need
(欲していてもいつも手に入るとは限らないんだぜ。
でも、時にはやってみたら見つかるかもしれない。
あんたが必要としているものをね。)

と語っているのを背に、旧友たちは失ってしまったアレックスを媒体に、あの頃の青春を取り戻そうとするわけだ。アラサーになり、金も女もいる。中産階級として、豪勢にご馳走を用意し、酒にドラッグに色恋に明け暮れる。ただ、そこにあるのは人生の停滞から目をそらそうとする痛々しさだ。ある女は、子どもが欲しいのに夫が許してくれず堕胎したと語る。でも、子どもが欲しいからまた出産したいと語り始める。晩餐会では、男が大して上手くもないアレックスのジョーク「さてデザートにしようか。」というのを披露する。そこに笑いがあるもんだと、一人が下品な笑いをし場を凍りつかせる。俳優になった者は、彼のかつて出演した安っぽいテレビ映画を皆で観ることになり赤面する。

彼らの時代は、第二次世界大戦後のベビーブーム世代。戦後親世代との断絶と戦ってきた世代であり、カウンターカルチャーで大人へ反発し、そして大人社会に抗うことができず、順応する形で大人になっていった世代だ。マーヴィン・ゲイの”I Heard It Through the Grapevine”やビーチ・ボーイズ”Wouldn’t It Be Nice”、パーシー・スレッジ”When a Man Loves a Woman”、ザ・バンド”The Weight”といった60年代の名曲が安っぽく引用される。すっかり成熟し、ギラギラしていたカウンターカルチャーの《カウンター》が削ぎ落とされ、すっかりアメリカ社会に飲まれてしまった彼ら/彼女ら。音楽も歌詞まで深く嗜むのではなく、表面的なノリでしか楽しまなくなった者のデカダンスを本作は捉えているのだ。故に退屈な作品でありながらも、その退屈さが魅力的な作品に仕上がっている。

ローレンス・カスダン自身、第二次ベビーブーム世代の人。彼が自分のアラサー、アラフォーの危機と、同世代が持つスノッブで枯れてしまった文化を批判的に描いた秀作と言えよう。

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