【ネタバレ】『誰がハマーショルドを殺したか』これぞ潜入ドキュメンタリーの極み

誰がハマーショルドを殺したか(2019)
Cold Case Hammarskjold

監督:マッツ・ブリュガー

評価:60点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

今、渋谷イメージ・フォーラムで世にも恐ろしい潜入ドキュメンタリーが上映されている。『誰がハマーショルドを殺したか』はかつて、リベリアの外交官兼実業家に成りすまして中央アフリカのマッチ工場内部の闇に迫った『アンバサダー』を撮ったマッツ・ブリュガーが1961年9月、当時の国連事務総長ダグ・ハマーショルドの死の謎を究明すべく6年近い歳月をかけて調査したドキュメンタリーだ。先日の飲み会で話題となったので観てきました。尚、本作は何も頭に入れずに観た方が面白いのでネタバレ記事とします。

『誰がハマーショルドを殺したか』概要


1961年に起こった国連チャーター機墜落事故の真相に迫るドキュメンタリー。1961年9月、当時の国連事務総長ダグ・ハマーショルドはコンゴ動乱の停戦調停のため、チャーター機でコンゴへと向かった。しかし、ローデシア(現ザンビア)の上空でチャーター機は墜落事故を起こし、ハマーショルドを含むすべての乗員が死亡。この事故は暗殺説もありながら、くわしい調査が行われないまま原因不明の事故として処理された。これが墜落事故ではなく、ハマーショルドの命を狙った暗殺事件であったことを匂わす資料を発見したデンマーク人ジャーナリストで監督のマッツ・ブリュガ―と調査員のヨーラン・ビョークダールは、謎の解明のためアフリカ、ヨーロッパ各地へ飛ぶ。しかし、当時の関係者たちは誰もが事故について語ろうとはしなかった。そんな中、彼らはハマーショルド暗殺事件にとどまらない、秘密の組織による想像を絶する「ある絶滅計画」に遭遇する。
映画.comより引用

これぞ潜入ドキュメンタリーの極み

コンゴのキンシャサにあるホテルで真っ白い服、明らかに悪人面したマッツ・ブリュガーが黒人の女性秘書に自分の語ることをタイプせよと命令する。あまりにステレオタイプの様子に不穏な空気が漂う。彼は何をさせようとしているのか?そんな観客の疑問そっちのけで彼はダグ・ハマーショルドの死に関する調査結果を報告していく。コンゴ動乱の停戦の為に飛行機は飛び立つ。しかし、その飛行機は墜落してしまう。墜落現場近くに住んでいた住人は、「小型ジェット機が飛んできた」とか「銃撃の音がした」と語る。鉄板には幾つか不審な穴が空いており、彼の死亡現場にはスペードのエースが置かれていた。暗殺の香りが漂うのだが、中々真実にたどり着けない。やがてアフリカで搾取するエセ医者の存在、謎の組織サイマーの存在が浮かび上がり、なんとサイマーの傭兵に出会う。彼から「アフリカにAIDSを流行らせる」というミッションが存在したことを聞かされるのだ。

アフリカに慈善団体としてやってきた欧米の組織に紛れ込み、アフリカに疫病を蔓延させる。武力を使わず支配できるという理論の元サイマーは活動していたとのことだ。そしてサイマーは欧米の国家機関へと繋がっており、アフリカを独立させず貴重な資源を搾取し続けたい願望が暗躍する中で、ハマーショルドは目の上のタンコブだったとのこと。

ただ、そのエビデンスとなるものが中々見つからない。取材拒否され、迷走する中で、ハマーショルドは当時の黒幕に成りすますことで情報を整理しようとしていたことが明らかとなるのだ。明らかに暗殺だと思いつつも、その正体が中々掴めないもどかしさを画面に叩きつけたこの骨太ドキュメンタリーは、観る者を引き込む魔力に満ち溢れている。しかしながら、全体的に情報を十分に整理できていないまま画面に載せてしまっているとっ散らかった感がドキュメンタリー映画としての精細に欠け、あまり良い作品には思えない。また結局、陰謀論的なところに着地してしまっているので調査としてはある意味失敗に終わっている。

ただ、論文として観ると非常に興味深い世界がここにはありました。

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