『わたしは元気』渡辺紘文STAY HOME前に想いを寄せて

わたしは元気(2020)

監督:渡辺紘文

評価:70点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

先日、オンライン開催されたイタリアのアジア専門映画祭ウディネ・ファーイースト映画祭で渡辺紘文監督作品が特集上映されました。渡辺紘文監督は『プールサイドマン』や『叫び声』など東京国際映画祭の常連監督で、タル・ベーラのような色彩の中で『ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地、ジャンヌ・ディエルマン』的ミニマムな世界を映し出す唯一無二の監督です。地方都市や日本の閉塞感を、重い白黒映像に乗せて、時に笑いを挿入していくバランス感覚が好きで私が注目している映画監督の一人であります。そんな渡辺が『カメラを止めるな!』を国際的に紹介したウディネ・ファーイースト映画祭で猛プッシュされているのを知り嬉しくなりました。なんと最新作の『わたしは元気』がオンラインで観られるとのことなので早速観てみました。

『わたしは元気』あらすじ

A normal day for little Riko at home and at school. A vivid snapshot pervaded by the calm flow of reality that creates an authentic sense of wonder.
訳:家でも学校でも、小さな理子の普通の一日。淡々とした現実の流れの中で繰り広げられる鮮やかなスナップショットが、本物の不思議さを醸し出す。
※ウディネ・ファーイースト映画祭サイトより引用

渡辺紘文STAY HOME前に想いを寄せて

スマートフォンの縦長画面の中で少女が無邪気にはしゃぐ。子どもの感性をそのまま映画に閉じ込めようとする本作は予想もつかない動きを見せる。安倍首相が虚無な演説をしコロナ禍の混沌を増長させている音を背景に、子どもたちはゲームをしたり食事をしたりする。それと対比されるように、子どもたちの活動が提示される。『プールサイドマン』で使用された少女のしりとりのフッテージ。唐突に「ひつまぶし」という単語が飛び出て来るコミカルさにクスリと笑えて来る。

そして学校の帰り道、夕飯の話やらといった他愛もない会話が延々と続き、サッカーに励む子どものショットへと繋がれていく。もはや懐かしい密なふれあいが描かれているのだ。そして映画は、神宮寺亀吉という怪しい訪問販売がやって来ることでシュールなコメディと化す。あれだけ言葉巧みに子どもたちを操ろうとしていた神宮寺亀吉が、子どもの親が警察官と聞き、尻込みする。しかし、そこで強気に「親に言ったら針千本ガチで飲ませに行くからな!」と怒り始めるのだ。

やがて、そこから『友だちのうちはどこ?』的宿題を送り届ける話へと繋がっていく。

確かに本作は散漫に見えるかもしれない。しかしながら子どもの目から見た無軌道な日々の結合に強いインパクトを感じました。なかなか渡辺紘文監督作品は観る機会に恵まれないのですが、才能はまだまだ衰えない監督と言えよう。

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