『建築と時間と妹島和世』妹島和世にとって模型とは?

建築と時間と妹島和世(2020)

監督:ホンマタカシ

評価:60点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

Mini Theater AIDリターンのミニシアターパスを全然使えていないので、『エマ、愛の罠』を観るついでに『建築と時間と妹島和世』を観てきた。本作は、金沢21世紀美術館やルーブル美術館ランス別館などを手がけ、建築界のノーベル賞と言われるプリツカー賞を受賞している妹島和世が大阪芸術大学新キャンパスを作るまでの過程を写真家のホンマタカシが撮ったドキュメンタリーである。

『建築と時間と妹島和世』概要


金沢21世紀美術館やルーブル美術館ランス別館などを手がけ、建築界のノーベル賞と言われるプリツカー賞を受賞した世界的建築家・妹島和世が、大阪芸術大学アートサイエンス学科の新校舎を設計・建築する様子を追ったドキュメンタリー。アートとサイエンスとテクノロジーを柔軟に連携させ、これまでになかった研究と教育を行う大阪芸術大学アートサイエンス学科。その新校舎に妹島が込めた思いは、誰もが立ち寄れる見晴らしの良い丘の上の「公園のような建物」だった。その構想から完成までの3年6カ月を記録し、1人の建築家がひとつの建築に向き合う姿を鮮明に描き出す。1990年代から妹島建築を撮影してきた写真家のホンマタカシが監督・撮影を手がけた。
映画.comより引用

妹島和世にとって模型とは?

妹島和世は大阪大学新キャンパスの構想を絵コンテのイメージから模型に落とし込む。彼女にとって模型は大切なものだ。建築事務所を設立して30年走り続けてきた。一時期は模型を作ることに意味があるのか?模型を作る上での制約が創作の自由さを奪ってしまっているのでは?と疑問を抱いたことがあった。しかし、現実的な重みを模型は再現してくれるので、その制約は重要であることに気づき一貫して模型に拘ってきた。そんな彼女でも模型が持つ欠点を知ることとなる。ローザンヌでのプロジェクトの際、3DCGでイメージを作った。すると模型だと自分の見たい方向からでしか物事を捉えていないことに気づかされる。意外な側面を見せてくれる3DCGのお陰で、醜い箇所が浮き彫りになったのだ。それでも今回、彼女は模型に拘ったのです。家や事務所に無数に積み上げられる模型。フィクションから現実に落とし込む際に何度も何度も作り直す。学校サイドと打ち合わせをすると、予算オーバーになることが明らかとなり構造を再構築する必要が出てくる。一枚板で湾曲を表現するのはコストがかかるので、大きな板を複数分割して、その配置で湾曲を表現する作戦へと変更する。そしてGOサインが降り、施工が始まればあとは見守るだけだ。何度か現場を訪れ、イメージを膨らませて完成を待つ。また同時に別プロジェクトのアイデアを練っていくのだ。

本作は、建築ドキュメンタリーとしては妹島和世に動きがない場面が多く、彼女を現場でフラフラさせるぐらいなら建築理論をもっと語ってほしい気持ちになるのだが、それでも普段なかなか接する機会がない建築の裏側が見られて興味深いドキュメンタリーでした。

※ヒューマントラストシネマサイトより画像引用

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