『アクアスラッシュ』Z級あるある「フェスがショボすぎ問題」

アクアスラッシュ(2019)
Aquaslash

監督:ルノー・ゴティエ
出演:ブリタニー・ドリスデル、ラニサ・ドーン、ポール・ジンノ、マデリーン・ハーベイetc

評価:20点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

いつもは日本未公開のアート作品や、『死ぬまでに観たい映画1001本』掲載の名作ばかり観ている私ですが、たまには頭を空っぽにして観られるC級Z級映画が観たいと思いウォータースライダーミンチ系スリラー『アクアスラッシュ』に挑戦しました。鮮血に染まるプール。ウォータースライダーから飛び出す刃とインパクト抜群なヴィジュアルですが、誰しも疑問に思うであろう。どうやってウォータースライダーに人をおびき寄せるのか問題。ウォータースライダーはお化け屋敷とは違って一方通行である。物語が生まれにくい環境なのだが、そんな疑問を抱え私はアマゾンの樹海へと足を運びました。

『アクアスラッシュ』あらすじ


高校最後の週末にキャンプ場を訪れた高校生たち。だが、そこは過去に忌まわしい事件のあった場所で、少年たちの乱痴気騒ぎが阿鼻叫喚の事態と化してしまう。大型プールでの惨劇映像などを盛り込んだ青春ホラー。
TSUTAYAより引用

Z級あるある「フェスがショボすぎ問題」

B級、C級はたまたZ級映画は通常の映画と同じ基準で観てはいけないものだと考えている。予算のなさからパッケージや予告編にあるおいしいショットはごく僅かである場合が多く、いかにしてそのショットを勿体ぶるか?尺を引き延ばすかの技量で評価するものだと考えている。『マックイーンの絶対の危機』では、ガヤの恐怖描写を通じて、画面の外側にいるブロブの存在を魅力的に演出し、そこまで登場シーンが多くないはずのブロブに対する愛着、そして映画に対する愛着が湧く仕組みとなっている。同様に『デビルシャーク』はたった70分の映画の中でサメの登場シーンは2分程。しかも10分はサメのぬいぐるみを買うアフターショット付きのエンドロールで占められる作品でありながらも、強烈なキャラクターと映画のぎこちなさがカルトサメ映画として不動の地位を築き上げた。そういったB級映画の引き延ばしをタランティーノは『デス・プルーフ』でアート映画として再構築してみせた。

さて、『アクアスラッシュ』の場合はどうだろうか?

これはなかなかキツイものがある。クリシェとして、ピチピチギャルや脳筋男による宴が始まる。うだるような暑さ。サイコパスおじさんの助言などものとはせずにキャッキャ遊ぶ男女が映し出されるのだが、ちっとも楽しそうに見えない。この空間には音楽やエクストリームな呑みといったものが不足しており、予算不足か人脈不足か、スライダーの麓で開催されるフェスらしきものはバイブスが下がりに下がっている状態である。

この手の映画はレイザーラモンRGのあるあるネタのように、間延びさせまくったのちに微妙なあるあるを述べて終わるユーモアが重要だ。ただその間延びが面白くなくては意味がない。頭が脳筋すぎてサイコパス以上にどうかしている人が必要なのだ。そういった人物が皆無で、全てのパリピがモブとして映し出される。だから観ていてキツイものがあります。そして、序盤でのスプラッター描写が、酒飲みながらウォータースライダーしていた人が、瓶を頭にぶつけて負傷する場面だったりするので先行きが不安すぎて居た堪れない気持ちになっていきます。

ただ、そういった虚無を乗り越えた先にあるウォータースライダー人肉ミンチ事件描写は荒唐無稽で面白い。明らかに回避可能なガバガバ刃にもかかわらず、次々と人体がバラバラとなる。そしてパリピは止まることなく、スライダーへと入っていき、ゴール地点がかき氷のイチゴシロップのように綺麗に染まっていく。この鮮やかさには感動を覚えました。

その一発芸を観るために虚無を耐えた甲斐がありました。

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