ホイッスラーズ 誓いの口笛(2019)
原題:La Gomera
英題:The Whistlers
監督:コルネリュ・ポルンボユ
出演:ヴラド・イヴァノフ、カトリネル・メンギア、Rodica Lazar、アグスティ・ビジャロンガetc
評価:65点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
第72回カンヌ国際映画祭でルーマニアの鬼才コルネリュ・ポルンボユが新作を発表した。コルネリュ・ポルンボユ監督は日本でも『トレジャー オトナタチの贈り物。』が紹介され、あまりにビザールな話に映画ファンを驚かせた監督だ。そんな監督が最新作で選んだテーマは《口笛》。口笛を使った汚職警官ものとこれまた奇天烈な内容となっていました。
2021年2月にWOWOWで邦題『ホイッスラーズ 誓いの口笛』として配信決定。
『The Whistlers』あらすじ
Not everything is as it seems for Cristi, a policeman who plays both sides of the law. Embarking with the beautiful Gilda on a high-stakes heist, both will have to navigate the twists and turns of corruption, treachery and deception.
訳:法律の両側面を演じる警官、クリスティのように見えるわけではありません。ハイステークスの強盗に乗って美しいギルダと一緒に乗り出すと、どちらも腐敗、裏切り、欺瞞のねじれと向きを変える必要があります。
※IMDbより引用
ルーマニアの口笛通信は公開鍵暗号だ!
イギー・ポップの《The Passenger》に乗って、男が島にやってくる。彼はさすらいの男だ。汚職警察だ。彼はマフィアと結託しようとしている。そのためには、マフィアが使っている口笛言語エル・シルボを習得しなければいけない。講師が配置され、彼はレッスンを受ける。スペイン語のエル・シルボをルーマニア語仕様に変幻させ、最初は掠れ音しか出なかった彼も、ピュイ、ピュイと口笛を鳴らせるようになる。本作が奇妙なのは、いくらマフィア間でしか通用しない口笛言語を使っているからって、街中で白昼堂々口笛会話をし始めるのだ。これでは悪事が外に漏洩してしまうのではなかろうか?と思うのだが、これはネットワーク技術における公開鍵方式に近いものだと解釈すると腑に落ちる。暗号を傍受されても、自分の持っている鍵がなければ解読が不可能なのだ。アナログの公開鍵暗号、公開鍵暗号を可視化するツールとして口笛を用いているところに鋭さを感じます。
これにより、観る者は聴こえているのだが、解読できないことによる不気味さを楽しむことができる。正直、奇妙にねじ曲がった汚職警官とマフィアの抗争の顛末は藪の中。よく分からない。しかし、そのよく分からなさ、ポルンボユの手の上で転がされる面白さを楽しむ作品と言えよう。
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