『THE GRAND BIZARRE』Jodie Mackが描く時間劇薬

ザ・グランド・ビザール(2018)
THE GRAND BIZARRE

監督:ジョディ・マック

評価:100点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

シネフィル向けMUBIにて面白そうな実験映画『THE GRAND BIZARRE』が配信されていました。監督のジョディ・マックは昨年アップリンク渋谷で開催された《現代アメリカン・アヴァンガルド傑作選2019》で短編『サムシング・ビトウィーン・アス』が上映された程度で認知度は低い監督なのですが、VIMEOで配信されている短編をざっと観ると、今後覚醒していきそうな監督です。というわけで今回は『THE GRAND BIZARRE』について語っていきます。

『THE GRAND BIZARRE』あらすじ

A playful trip around the world, through its fabrics and textiles and their place in a busy international market.
訳:生地とテキスタイル、そして忙しい国際市場での彼らの場所を通して、世界中の遊び心のある旅行。
IMDbより引用

Jodie Mackが描く時間劇薬

絨毯の色彩が目まぐるしく切り替わっていく。トランクから溢れんばかりの生地はまるで生物のように蠢いていく。そして船や列車の移動に合わせて、生地もデザインが変わっていくのだが、窓の外の景色と生地の変化のスピードが不釣合いで時空の歪みが生じる。ストップモーションアニメは、露骨にコマ撮りされたヴィジュアルを観客に突き付け、観客はアニメは、あるいは映画は細かいフレームの連続体であることを認識する。そんなストップモーションアニメが意外と忘れてしまっていることがあるとジョディ・マックは言わんとしている。それは、時間の流れだ。

ストップモーションアニメでは我々の生きる時間とは違う時間の流れがあると、劇映画よりも強烈にフレームに焼き付けていく。しかし、そこで流れる時間は等価である。しかし、外でストップモーションアニメを撮れば、人の動きや太陽の動きで、幾つかの時間が共存する。そして、彼女はその時間の共存から、情報過多時代における時間とは何かをドラッグとも言える映像の中から見出そうとしている。

生地と生地の狭間に地球儀がアイコンとして登場する。ディスプレイに表示される地球儀をくるくる回し、世界に同時多発する時間を魅せていくところから、かつて人類にとって観測できなかった幾つかの時間軸がテクノロジーの発展で体感できるようになったことを示し、そこから目まぐるしく文字やソースコードが記号のように移ろいゆき、その外で例えば、Skypeの音をサンプリングした音やゆったりとした音、騒々しい音が幾重にも層をなし情報過剰となっていく。

我々は日々多くの情報を摂取している。SNSやyoutubeを観てしまうと、いつの間にか数時間が経過していたりする。ただ、本当に全ての情報を理解することはできるのか?それは否である。ただ、それは悲観すべきことでもないのでは、時代に身を任せてみてはどうだろうか?とジョディ・マックの鋭い批判とは裏腹に、高揚感を過剰投与されていく作品でありました。

ジョディ・マック監督は今後追っていきたい監督である。

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