【映画批評月間】『リベルテ』リベラシオンが絶賛したリベルテ

リベルテ(2019)
Liberté

監督:アルベール・セラ(アルベルト・セラ)
出演:ヘルムート・バーガー、マルク・スジーニ、イリアーナ・ザベートetc

評価:15点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

2019年のカンヌ国際映画祭はおしりと、いちもつで大混乱だった。コンペティション部門に選出された『Mektoub,My Love:Intermezzo』は3時間半の上映時間の大半がおしりしか映っていないことで大炎上し、批評家支持率0%を叩き出した。それに対抗してか、ある視点部門でも支持率0%を叩き出したエロ映画がある。それが『リベルテ』だ。こちらは何故か、ある視点審査員特別賞を受賞する快挙を成し遂げ、名前の縁からかリベラシオンが後に絶賛し始めました。また、釜山国際映画祭で一足早く観た友人が、オールタイムワーストと言っており、「色んないちもつを魅せられゲンナリした」と嘆いていた。

そんな問題作を映画批評月間で観てきました。

『リベルテ』あらすじ


ジャン=ピエール・レオ主演の『ルイ14世の死』が日本でも公開された鬼才アルベルト・セラが今度はフランス革命前夜の18世紀の退廃貴族たちの性、欲望のありか、サド的世界に迫る。ルイ16世のピューリタン的厳格な宮廷から追放された自由主義者達(ルビ:リベルタン)は、伝説的ドイツ人公爵ワルシャンの支援を求めて国境を越える。2019年カンヌ国際映画祭「ある視点」部門審査員特別賞受賞作品。「私にとって撮影とは上演(パフォーマンス)であり、一度限りのものだ。演じられている中で生まれるもの、感情を、それぞれが自律的な3台のキャメラで撮影し、それらは再び生み出すことが不可能であり、とくにセックスが題材であればなおさらそうである。」(アルベルト・セラ)
※アンスティチュフランセより引用

失敗したアート映画版『死霊の盆踊り』

やはり、アルベール・セラは理論はユニークで鋭いが映画としては退屈ダサい作家と言えよう。『騎士の名誉』では、ドン・キホーテもののクリシェを全否定することで、ドン・キホーテの凡人さを引き出そうとしていたが、単に退屈なだけであった。

本作はパゾリーニの『ソドムの市』と比較したくなるだろうが、実態は『死霊の盆踊り』をアート映画にしようとして単に失敗しているだけの作品であった。

冒頭、森の深淵に落ち武者ならぬ、落ち貴族が迷い込み、そのまま儀式に参加する過程が描かれる。悪魔のような誘い人の口から、残虐な処刑を愉しむ人を緻密な描写で語られていく。その惨さに、耳を塞ぎたくなるでしょう。

そして、『LIBERTÉ』とタイトルが出ると、闇の奥の微かな儀式が幕を開ける。カサッカサッという草のざわめきと悲鳴、それらが観客の想像力を刺激する。冒頭の酷いセリフが恐怖を引き立て、また、なかなか残虐卑猥な行為を魅せないことで、さらに恐怖を掻き立てる。

アルベール・セラは他の映画におけるセンセーショナルな夜の営み描写は魅せ過ぎだと語っているように見える。夜の営みとは他者には魅せないものであり、それを見ることができる、極限まで体験できることは贅沢だ。だからこっそりやる背徳感を描く必要があるのでは?とフレームから観客へ問題提起をするのです。

故に、ひたすら映っているようで、遠すぎたり、近すぎたり、暗すぎてなかなか正体を観測できない描写が2時間以上続くのです。

そして、回転寿司のようにおしり、おっぱい、いちもつ、シャルリュス男爵が「俺が!俺が!」と観客に襲い掛かる様に気持ち悪さと恐怖と苛立ちを感じることでしょう。

日本公開は絶望的ですが、この異常な体験、機会があれば体験してみると良いでしょう。私はあまりオススメしません。

P.S.いちもつがデカすぎ&作り物感全開でビックリしました。

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