STYX(2018)
監督:ウルフギャング・フィッシャー
出演:Susanne Wolff、ジェディオン・オーダアー・ウェクサetc
評価:65点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
先日、予告編を観て面白そうな作品を入手しました。『STYX』は全編小舟の中で展開されるサスペンス。小舟映画といえば、ロバート・レッドフォードがセリフほとんど0で挑んだ『オール・イズ・ロスト』が有名ですが果たして…
『STYX』あらすじ
“Styx” depicts the transformation of a strong woman torn from her contented world during a sailing trip.
訳:「STYX」は、航海中に満足した世界から引き裂かれた強い女性の変容を描いています。
※IMDbより引用
貴方は彼らを救えますか?
2010年代は、ヨーロッパが一つになろうとするものの移民問題が深刻化し、各国が個人主義の強さに味をしめ、如何に柵から逃れるか模索する時代だった。この大きな動きは世界に波及し、映画でも映し出される。コントロールできない不気味さとして『ワールド・ウォーZ』や『海は燃えている』で描かれてきた。
ここに新たな作品が食い込んだ。《三途の河》という意味が題名となっている『STYX』はミクロな正義感のある種限界を描いた作品だ。
女性が航海していると、謎の船を見つける。助けようか助けまいか、連絡を取り合ううちに一人の少年が船から泳いでやってくる。彼を可哀想に思い助けると、次々と人が海に飛び込み小舟目掛けて泳いでくるではないか!彼女は恐れ慄き一旦退避するものの、自分の正義が傷つき思い悩む。
貧しい人を見かけると手を差し伸べたくなる。しかし、手を差し伸べれば、「なぜ、ボクには手を差し伸べてくれないんだ?」と無数の手が覆いかぶさり息ができなくなる。しかも、手を差し伸べてもその恩を仇で返してきたりする。
ヨーロッパが感じている本音をミクロなレベルに微分してみせた本作は、あまりに難しい施しの問題を厭世的に魅せた。
ヨーロッパの悲鳴を私は観た。
そして2010年代、年を経るごとにこの手の難民映画、貧しき者が不気味に這い上がる映画は増えていき、今や『アス』、『パラサイト 半地下の家族』といった作品が生まれていることからも、世界がより一層不安定な社会になってしまったんだなと痛感せざるえない。
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