【Netflix】『エリサ&マルセラ』イザベル・コイシェが描くスペイン初の同性婚のお話

エリサ&マルセラ(2019)
Elisa y Marcela

監督:イザベル・コイシェ
出演:ナタリア・デ・モリーナ、グレタ・フェルナンデス、サラ・カサスノバスetc

評価:30点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

TwitterではNetflixの新着映画として『サバハ』、『アイ・アム・マザー』が話題となっているが、ついこないだのベルリン国際映画祭コンペティション出品作品が来ていることをご存知だろうか?日本ではココマルシアターことココロヲ・動かす・映画館○配給で話題となった『マイ・ブックショップ』のイザベル・コイシェ監督が、スペイン初の同性婚の物語をNetflix資本で映画化した作品『エリサ&マルセラ』が日本でも配信されました。

The Guardian誌が「すべてのフレームをはがきのように見せ、堂々とした情熱も喜びのない、過度に趣味の良い錬金術に変えた」と酷評していたこともあり不安でしたが、残念ながらその一抹の不安というのはブンブンにとって現実のものとなってしまいました。

『エリサ&マルセラ』あらすじ


20世紀初頭、禁断の愛で結ばれたエリサとマルセラは、夫婦として共に人生を歩むため、大きな決断をするが…。スペイン初の同性婚を果たした実在の夫婦の物語。
※Netflix公式より引用

ただひたすらに退屈

1901年に敬虔なカトリックの国スペインで同性婚が行われた事件を描いていると聞くと、LGBTQならでは社会という大きな異物を見る目の息苦しさを描いた激しい作品を想像する。例えば、『リリーのすべて』であったり、『アデル、ブルーは熱い色』であったり。そして本作は、今までイザベル・コイシェの心地良い映画を期待して観ると、『アデル、ブルーは熱い色』路線の作品でギョッとさせられる。2時間あるうちの半分はひたすらにエリサとマルセラの写実的な接吻、交わりが描かれる。『ローマ/ROMA』を思わせる、モノクロ写真が動いているかのような美しい映像の中で、二人の女性は愛を囁き合うのです。そしてやがて、二人は愛を誓うため、エリサが男性になりすます。そしてそれが発覚して壮絶なクライマックスへ向けて疾走する。これはまるでジェットコースターのように、順繰り坂を昇っていき、一気に堕ちていく様子と似ている。ただ、イザベル・コイシェ監督は所謂LGBTQ映画にありがちな感情を爆発させて社会と闘う映画的な演出を嫌い、当時世を騒然とさせたこのスキャンダルを巡る空気感を再現しようとするのに専念した。その結果、非常に退屈な作品となってしまった。

もちろん、イザベル・コイシェ監督がカタルーニャ出身の女性監督であり、常にアイデンティティ、カタルーニャであることや女性の映画監督であることに対する息苦しさや葛藤を背負っているだけに、真摯にこの物語と向き合っている姿勢は評価する。しかしながら、映画というメディア、それもドキュメンタリーではなく劇映画として捉えた時に、この作品はあまりにも退屈だ。『ローマ/ROMA』では、淡々粛々と日常を切り取っているだけの映画に見えて、家政婦としてひっそり生きる者が感じる生と死に対するカタルシスをドラマチックに描いていた。だからこそ2時間半楽しかった。ただ、ここにあるのは暗い空間で囁く二人の女性の詩のみ。映像は美しいし、テーマも非常に重要。同性婚に対する社会の目線というのもしっかり描けている優等生な作品ではあるが、幾分優等生すぎて退屈な気がしました。

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