イラン式料理本(2010)
IRANIAN COOKBOOK
監督:モハマド・シルワーニ
評価:80点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
映画仲間から譲り受けたDVDの中にイランのドキュメンタリーがありました。『イラン式料理本』は高校生時代、観ようと思っていたのですが岩波ホールの格式の高さにビビって観にいけなかった作品。イラン映画にハズレなしと思っているブンブンにとって期待しかないのですが果たして…
『イラン式料理本』概要
イラン人家庭のキッチンで女性たちが料理をする姿を撮影し、その様子から浮かび上がるイラン社会を映し出すドキュメンタリー。100歳目前の女性、主婦歴40年の女性、現代の若い女性がイランで食される料理を調理し、食べ、片付けるまでの間に、家庭ごとのさまざまなドラマが繰り広げられる。メガホンを取るのは、イランのインディペンデント映画界で活躍するモハマド・シルワーニ。料理、そして年齢や男女間のギャップなど、食文化や家庭観といった興味深いイランの社会や文化が凝縮されている。
※YAHOO!映画より引用
Youtubeかな?
最初、うっかりYoutubeでも開いてしまったのかと勘違いしました。というのも、おばちゃんが「さて料理を作るわよ」とクッキングを始めるのだが、そのスタイルがyoutuberっぽかったのです。とはいっても、日本のyoutuberのパフォーマンスに見慣れているブンブンにとってあまりの雑な演出に衝撃を受けました。そこにはブンブンハローユーチューブもなければ俺が俺にオンデマンドもない。効果音やエフェクトといった工夫もない。監督が雑談しながら、親戚の料理風景を撮ってそのままノー編集で映画にしてしまった感が強いのです。しかも料理ドキュメンタリーにも関わらず、全然鍋の中身を魅せてくれないし、録音マイクもカメラに映ってしまっている。野菜やスパイス、米が次々と鍋に投入されるのだが、鍋がどうなっているのかは終盤になるまで魅せてくれないのだ。しかも、3分間クッキングさながら「これが3時間寝かせたものです」と言わんばかりに粽(ちまき)の最終形態が出来上がっていたり、おばさんがあとは握るだけよ!とモンスターサイズのおにぎりを握り始めたりする。ただ、観ていくとこれが単に家族の料理風景を撮りたい作品ではなかったことがわかる。料理の合間の会話から浮き上がってくるイラン社会、生のイラン社会を投影しようとしているのだ。家事しかさせてもらえず、料理を作っても男どもに文句を言われる人生に不満を漏らすもの。形骸化したラマダーンの姿、イランの嫁姑闘争などドラマでは決して描かれることのない純度100%のイランがここに籠められていたのです。
そして、ラスト。衝撃の展開でこの映画は幕を閉じます。コントロール不可能な部分に面白さを見出すドキュメンタリーの側面を最大限活かし、尚且つ監督の人生を捧げた体当たりなクライマックスに唖然としました。
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