『くもりときどきミートボール2 フード・アニマル誕生の秘密』強烈なスティーブ・ジョブズ批判に大草原

くもりときどきミートボール2 フード・アニマル誕生の秘密(2013)
CLOUDY WITH A CHANCE OF MEATBALLS 2

監督:コディ・キャメロン、クリス・パーン
出演:ビル・ヘイダー、アンナ・ファリス、ジェームズ・カーン、アンディ・サムバーグetc

評価:70点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

現在公開中の『スパイダーマン:スパイダーバース』が絶賛の嵐となっています。ライムスター宇多丸が10年前に『くもりときどきミートボール』評でフィル・ロード&クリス・ミラーの名前を覚えておいてくださいと言ってから遂に、アカデミー賞長編アニメーション賞を受賞しました。常にディズニー/ピクサーの呪縛から解き放たれようと斬新な語り口、斬新な手口で快作を作ってきたコンビ。そんなコンビが製作総指揮をした『くもりときどきミートボール』の続編をNetflixで鑑賞しました。本作は、グロテスクなまでにカリカチュア化された大量生産大量消費社会アメリカを痛快に描いた傑作『くもりときどきミートボール』の続編となっています。監督こそ、違いますが果たして…

『くもりときどきミートボール2 フード・アニマル誕生の秘密』あらすじ


水を食べ物に変える「食べ物マシーン」を発明したものの、巨大ミートボールなどが空から落ちてくる異常気象を引き起こして町をパニック状態にしてしまった青年フリント。何とか町を救った彼だったが、思わぬ事態が新たに発生していたことを知る。何と壊したはずのマシーンが再び作動してしまい、マンゴーとフラミンゴが一緒になったフラマンゴーといった、食べ物と動物の融合生物フード・アニマルたちが生み出されていたのだった。
YAHOO!映画より引用

グロテスクなスティーブ・ジョブズ批判

大量生産大量消費社会に対する皮肉として秀逸であった前作に対して、本作は全力全開でスティーブ・ジョブズを批判する異様な作品となっています。物語は、暴走したフード生産機を破壊し地球を救ったところから始まる。フリントの前に憧れの科学者チェスター5世が現れ、雇用される。彼はチェスターの元で働くことに喜びを抱き全力で発明に没頭する。そんな中、チェスターから被災地となった島の残飯処理に問題が発生しているので、何とかしてほしいと頼まれる。

このチェスターというキャラクターの傲慢さと技術者のアイデアをカリスマ性を駆使して徹底的に搾取していく様が明らかにスティーブ・ジョブズを思わせられる。そして優秀なエンジニアは、モニター越しに「君らに発明できるかな?」という煽り言葉に目をキラキラさせながら「はい、貴方のために頑張ります」と崇拝し、狭く暗い空間で黙々と発明させられる。このディストピア感は何だろう。Appleが憧れの企業としてメディアに度々登場するものの、実情はまるで奴隷のようにこき使っていたという告発ニュースが海外メディアで報道されていたのだが、あの異様さを映画の中でやってしまっているのだ。そして、前作に引き続きグロテスクなフードモンスターが重なり、食欲減退間違いなしの狂気の作品となっている。とてもじゃないが子ども向けではありません。

社会人になり、社畜の世界や雇われる/雇うの狭間にある問題を知っていると、まるで宗教のような企業活動をするチェスターの姿に身震いを覚えます。

ただ、この作品が残念だったのが、結末にあります。どう考えても、あのエンディングは頭おかしい。フリントよ、世界をもっと混沌にしてどうする。地球を征服してやると言い張る宇宙人よりも凶悪な決断。これを見てしまうと、フリントとチェスターどちらが世界を救っても、地球には滅亡しか道が残されていないと思いました。ある意味世紀末映画としては傑作だと言えよう。


ブロトピ:映画ブログの更新をブロトピしましょう!
ブロトピ:映画ブログ更新

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です