【速報】第69回ベルリン国際映画祭金熊賞はイスラエル人の移民映画『Synonymes』

第69回ベルリン国際映画祭金熊賞はイスラエル人の移民映画『Synonymes』

おはようございます、チェ・ブンブンです。

今朝、第69回ベルリン国際映画祭の結果が発表されました。最高賞にあたる金熊賞は昨年、Netflix配給でリメイクされた『ザ・キンダーガーテン・ティーチャー』の原作を手がけたイスラエル出身監督ナダヴ・ラピドの『Synonymes』でした。イスラエルからフランスに移住し国籍を取得するまでの物語で社会派色の強いベルリン国際映画祭らしい最高賞でした。


とはいえ、今年のベルリン国際映画祭はレベルが低く、星取表は最高でも☆3/4までしかいきませんでした。また東京国際映画祭ディレクターの矢田部さんのベルリン滞在日記を読んでも、熱量が常時低めで、なおかつ会期中にチャン・イーモウ最新作『One Second』が上映中止となってしまい、昨年以上に酷いラインナップだったようです。

それでは結果をいつも通り書いていきます。今年はあまり書く気が起きないのでサラッと流させていただきます。

金熊賞:Synonymes

監督:ナダヴ・ラピド

銀熊賞(審査員賞):Grâce à Dieu

監督:フランソワ・オゾン

フランソワ・オゾンって三大映画祭の常連でいつもどっかしらのコンペにいるが受賞はしないというイメージが強い。まあ、作品を観ると賞を獲るような風格はないので当然っちゃ当然っちゃ当然なのですが、今回は作風をガラリと変えてガチモノの作品を作ったようです。性的虐待を与えていた神父と、その被害者のドラマ。パブロ・ラライン『ザ・クラブ』、トム・マッカーシー『スポットライト 世紀のスクープ』を思わせる骨太映画となっています。今回のオゾンは期待できそうです。

銀熊賞(アルフレッド・バウアー賞):Systemsprenger

監督:ノラ・フィングシャイト

癇癪持ちの女の子とアンガーマネジメントのセラピストの治療の日々を描いた作品。監督がドキュメンタリー出身監督らしいので、リアリズムな作風が評価された模様。

銀熊賞(監督賞):アンゲラ・シャーネレク(Ich war zuhause, aber)

監督:アンゲラ・シャーネレク

日本でもアテネフランセ界隈で知名度を高めている新・ベルリン派監督アンゲラ・シャーネレクが遂にベルリンで輝きました!失踪した少年が戻ってきたことによる周りの変化を描いた作品で、ひょっとすると『寝ても覚めても』的な面白さが期待できる作品です。日本一般公開することを願います。

銀熊賞(女優賞):Yong Mei(So Long, My Son)

監督:ワン・シャオシュアイ

中国第六世代監督ワン・シャオシュアイ(『重慶ブルース』)が夫婦の軌跡から中国史を読み解いていく作品で、『黒衣の刺客』にも出演していたYong Meiが受賞しました。

銀熊賞(男優賞):Wang Jingchun(So Long, My Son)

監督:ワン・シャオシュアイ

女優賞男優賞共に、『So Long, My Son』で夫婦を演じたYong MeiとWang Jingchunが受賞しました。

銀熊賞(脚本賞):Maurizio Braucci,Claudio Giovannesi,Roberto Saviano(Piranhas)

監督:クラウディオ・ジョヴァンネージ

『花咲く恋』のクラウディオ・ジョヴァンネージ監督が描く、ナポリの若者ギャング団の抗争を描いた作品が受賞しました。

銀熊賞(芸術貢献賞):Rasmus Videbæk(Out Stealing Horses)

監督:ハンス・ペテル・モランド

リーア・ムニーソン主演でもリメイクされた『ファイティング・ダディ 怒りの除雪車』や、『特捜部Q Pからのメッセージ』と最近注目されているハンス・ペテル・モランド監督作『Out Stealing Horses』で撮影を務めたRasmus Videbækが受賞。

おまけ:『ウィーアーリトルゾンビーズ』がジェネレーション部門受賞

電通に務めながら映画を製作し、前作『そうして私たちはプールに金魚を、』でサンダンス映画祭短編グランプリを受賞した長久允最新作が今凄いことになっています。彼の長編デビュー作『ウィーアーリトルゾンビーズ』が先日、サンダンス映画祭で日本映画初の審査員特別賞を受賞したと思いきや、ベルリンでも日本映画初のジェネレーション部門スペシャルメンションを受賞しました。彼は前作に引き続き中島哲也的なドラッグなヴィジュアルパワープレイを武器に映画を製作した模様。長編には向かないのではと思っていたのですが、ここまで快挙を挙げれば傑作であることは間違いないでしょう。ブンブンの上半期ベストテンに入りそうな作品なので期待しかありません。

日本公開は6月。

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