今更ながら『コード・ブルー』を4Dで観てきた件(『シン・ゴジラ』との意外な共通点)

劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-(2018)

監督:西浦正記
出演:山下智久、新垣結衣、戸田恵梨香、
比嘉愛未、浅利陽介etc

評価:60点

先日驚くべきニュースがブンブンの耳に届いた。『劇場版コード・ブルー』が『シン・ゴジラ』の興行収入を超え 15年ぶりに邦画実写映画で100億円を突破したとのことだった。しかし、ブンブンの周りの映画ファンはほとんど観ていない。Twitterにも全く本作の感想が流れてこない。にも関わらず、『シン・ゴジラ』の興行収入を超えているのだ。日本にいながらにして、違う国の興行収入なのではと思ってしまうほどの衝撃だ。予告編を観ても、全く食指が動かない。そんな中、会社帰りにTOHOシネマズに立ち寄って、『ジュラシック・ワールド/炎の王国』を観ようとしたら、面白いものが目に入った。それは『劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命- MX4D上映』という文字だった。えっ4Dで上映する必要あるの?たちまちブンブンの興味は恐竜から、病院に目移り。1,000円課金して挑戦することにしてみました。

『劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』あらすじ

トロントに活動拠点を移す予定の敏腕ドクター藍沢耕作。天才的技量を持つ彼との最後の日々を翔陽大学附属北部病院救命救急センターのスタッフは噛みしめるようにして送っていた。そんな中、東京湾で大事故が発生する…

ザ・ライトスタッフからTHE RIGHT STUFFへ…

2008年から放送されている人気テレビドラマ『コード・ブルー』の劇場版。テレビドラマ嫌いなブンブンは全く、登場人物の関係なぞ知らぬまま観た。そんな一見さんの為に、本作は冒頭5分でダイジェスト映像が流されるのだが、『バーフバリ 王の凱旋』のダイジェスト並みにちょっと何を言っているのか分からない。ただ、この作品はパトレイバー風に言うならば、ザ・ライトスタッフ(あっ軽い人々)からTHE RIGHT STUFF(正しい資質)に変わる者たちの物語だとのこと。

フライトドクター研修生たちも、今や立派に成長し、病院という名の戦場を渡り歩いている。ある者は海外に飛び立とうとしており、ある者は院内結婚を果たし、激務の刹那を縫って結婚式の準備をしている。ある者は、親との確執と向き合う。研修という同じスタートラインから、それぞれがそれぞれの道を切り開こうという中で、空港、そして東京湾での大事故が起き、心が揺れ動く。

本作は、ブンブンのように年間100本以上映画館で映画を観るようなハードコア映画ファンは御呼びでない作品。それだけに、登場人物の心情は全てセリフで語られる。医学用語は多いけれども、なるべく観客の頭からクエスチョンマークが出ないように、徹底して懇切丁寧な説明描写を入れる。映画学校でこんな脚本を出したら0点なくらいに酷い。また、演出においてもなるべくVFXにかける予算を削減する為に、意図的に災害シーンを映さないようにしている。エキストラ感溢れる、無数に倒れる人々を映すだけで災害を表現しようとする、あまりにケチケチした描写に幻滅する。

しかし、これが妙に面白い。酷いんだけれども惹き込まれるものがある。それはガッキーが可愛いせいなのかもしれない。ガッキーの可愛さだけで、数十点分プラスに働いていることは否めない。しかし、よく観ると、脚本やVFX以外の部分でマイナスを打ち消すものがあったのだ。

まず、音楽の使い方。劇中で巻き起こる大惨事の緊迫感。予算の関係で直接的災害を魅せられない状況で、切迫した耳に焼きつくメロディをしつこく流すことで観客の脳裏にサブリミナル効果として《緊迫感》を植え付けることに成功している。なので、ハードコア映画ファンのブンブンですら、段々と胸が熱くなる。ドクターたちに熱いエールを贈りたくなる。そしてそんなサウンドに応えるかのように、ドクターたちがキビキビと動く。それぞれのキャラを活かしつつ、目の前の問題を解決しようとする姿を観ると、勇気がもらえる。明日も仕事頑張ろうと思えてくる。恐らく、ここまでヒットした理由として、実際の職場のように多様な人がいて、彼らが相互作用して大きな問題を解決していく清々しさ。リアルなんだけれども、現実ではなかなか味わえない仕事の高揚感を味わえるからなんだろう。ハードコア映画ファンは『寝ても覚めても』のようにサイコパスが織りなすシュールな世界に興奮を覚えるが、それに魅力を感じるのは日本全体でみたら極々僅か。多くは、『コード・ブルー』のような興奮を求めていたことが分かる。

『シン・ゴジラ』との意外な関係

実は、本作、『シン・ゴジラ

』の成功がなければ存在していなかった作品に見える。実は、本作のプロットは『シン・ゴジラ』とほとんど一緒なのだ。『シン・ゴジラ』は、ゴジラという未曾有のバケモノに対し、各種スペシャリストが心情を吐露し、専門用語を吐き散らしながら、ゴジラと対峙する作品だった。まさしく『コード・ブルー』も同様で、未曾有の事故に対し、スペシャリストがそれぞれの気持ちを吐き散らし、専門用語を使った言葉のドッヂボールをする中で、問題を撃破しようとする作品だ。『シン・ゴジラ』の成功で、東宝は味を占めたのだろう。同じ手法でもって、もっとポピュラーな話に落とし込んだ。そして、15年ぶりに興行収入100億円を突破することに成功したのだ。なので『シン・ゴジラ』がなければ、きっと本作の成功もなかったことでしょう。

面白すぎるMX4D

今回、課金してMX4Dで観た。MX4Dとは、座席が揺れたり、水や空気が噴射されたりするアトラクション型の上映スタイルだ。どこで、座席が揺れるのだろうと思ったら、なんとガッキーがダッシュで患者のところに向かう場面で、座席が揺れたのだ。また、クレーン撮影するところで、座席が大きく揺れる。まるで、自分がドキュメンタリー監督として現場に潜入しているかのような動きをするのだ。また、ヘリコプターのプロペラの風に対する拘りが感じられるものとなっている。カメラがヘリコプターに近くと、風が強まり、カメラが引くと風が弱まる。この強弱の繊細さはもはや爆笑レベルに芸が細かかった。

でも、正直、MX4Dの必要性はあまり感じられなかった。ドラマ部分が多いので、そこまで座席が揺れません。手術のシーンや、ドクターがバッと立ち上がる場面で多少強めの揺れは起きるけれども、基本的にはドラマパートでは静かです。おまけに、予告編で流れた『ヴェノム』での4Dの使い方が非常にうまかった為、余計に『コード・ブルー』に4Dは必要ないと思ってしまった。

最後に…

まあ、ハードコアな映画ファンは1,800円を払って本作を観る必要があるかといえば、なんなら『寝ても覚めても

』を2回観た方が有意義な時間を過ごせるであろう。数日経ったら忘れてしまいそうな内容だし、物語としても後半30分はずっと飲み会パーティモード。内輪の盛り上がりをただただ眺める他ない苦痛がある。でも、本作は普段あまり映画を観ないような人を楽しませる十分な要素が揃った作品だ。ガッキーの可愛さはもちろん、プロとプロとが力を合わせて難題を解決していく高揚感に元気を貰えるのは確かだ。

なので、ブンブンは本作を観て後悔はしていない。むしろ楽しかった。面白い経験をありがとうと言いたい。ってことで、もし余裕があれば是非!ちなみにMX4Dは9/6(木)まで上映のところが多いらしい。もしお時間と予算に余裕があれば、MX4Dでお試しあれ。きっと衝撃を受けることでしょう。

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