ローマンという名の男 -信念の行方(2017)
Roman J Israel, Esq.(2017)
監督:ダン・ギルロイ
出演:デンゼル・ワシントン、コリン・ファレル、
カルメン・イジョゴ、シェリー・ヘニッヒetc
評価:85点
昨年度アカデミー賞主演男優賞にデンゼル・ワシントンがノミネートされたのだが、その対象作『ローマンという名の男』はアメリカで酷評された。デンゼル・ワシントンの神演技だけが救いの作品とのことだが、意外なノミネートに多くの人が驚きを隠せなかった。しかし、今回Air Canadaの機内エンタテインメントで観たら、これがメチャクチャ面白いではありませんか。日本では9/5(水)ビデオスルーですが、今日はこの傑作の魅力について語っていきます。
『ローマンという名の男 -信念の行方-』あらすじ
ローマンは人権弁護士。相棒ウィリアムと一緒に正義のために法廷で闘ってきた。しかし、ある日ウィリアムが病に倒れてしまう。すると、弁護士事務所の会計問題が見つかり、たちまち事務所を畳むこととなってしまう。サヴァン症気味で、人とのコミュニケーションに難があるローマンだったが、彼の才能に目をつけたジョージ・ピアスに雇われる。しかし、正義に対する拘りから軋轢が生まれ窮地に立たされてしまう。そしてついに…あなたの常識が試される…
いきなり、主人公ローマンの宣誓から始まる。何故か自分の罪を自分で弁護すると言っているではありませんか!
富澤たけし並みに「ちょっと何言っているのか分からない」
本作は、何故ローマンが自己弁護を決断したかの過程が描かれる。ローマンはサヴァン症の弁護士で、条文やありとあらゆる案件の詳細を覚えているが、正義感が強すぎて同業者から目の敵にされている。ある日、相棒が病に倒れ、それと共に事務所が閉鎖となる。路頭に迷う彼はある過ちを犯す、、、
『トレーニングデイ』で正義の為に悪に染まる警官役を演じたデンゼル・ワシントンに全く同じシチュエーションを演じさせているのに、全く雰囲気が違う。大泉洋のようにオドオドしながらも、ギャグを炸裂させ、終始周りをかき乱す。しかも、老害になりかけ故に、学生相手に講義した際、学生から「女性を差別するんじゃねぇ」と言われてしまう。
そして、中盤、あれだけ正義感強かったローマンが、まるでドラッグを吸ったかのように顔がへにゃへにゃになりながら、周りに流され始める。無軌道なまでに、物語を駆け回るローマンことデンゼル・ワシントンに困惑する。どうしちまったんだローマン!正義がいとも簡単に崩れ去る。正義に取り憑かれた人の不器用な人生。これこそが本作の本質。あまりに歪つで、ドン引きする展開の多い本作は、ダン・ギルロイのピリ辛ソースがたっぷりかかった絶品でした。
日本では、残念ながらビデオスルーですが、必見です。
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