それいけ!アンパンマン かがやけ!クルンといのちの星(2018)
監督:矢野博之
声の出演:戸田恵子、中尾隆聖、増岡弘、佐久間レイ、
山寺宏一、冨永みーな、杏、渡部建、児嶋一哉etc
評価:75点
、使いにくくなる為、先日フリーパスを発行した。フリーパスは、普段観ないような作品に挑戦するチャンスで、思わぬ出会いがある。1本目は劇場版アンパンマンを観た。実は人生初アンパンマンだ。うちの家は、アニメやディズニー、戦隊モノから隔絶しようとした教育方針だった為、20代にして初めてアンパンマンと出会った。果たして…
『それいけ!アンパンマン かがやけ!クルンといのちの星』あらすじ
ばいきんまんは、連日アンパンマンとの戦闘により基地にゴミが溜まってしまっていた。そんなゴミを廃棄すべく、ブラックホールを作り、宇宙に転送していた。そんな中、機械の故障で、星の子クルンが基地に迷い込んだ。ばいきんまんは、ドキンちゃんの希望により、クルンの世話をすることになる。そんな中、アンパンマンワールドに汚れた星が次々と墜落してくるのだった…大人も唸る産業廃棄物ディザスタームービー
子ども向けアニメだからと侮っていたが、非常に奥深い作品であった。
本作は産業廃棄物を宇宙に捨てることが如何に危険かを教えてくれる作品だ。東日本大震災後、放射能に汚染された福島、瓦礫だらけの福島を見て、当時高校生だった私は「ドラえもんのバイバイン問題のように、宇宙に汚染土壌を飛ばせば良いのでは?」と思っていた。しかし理系の友達から、「それは非常にマズイからできないんだ。」と言われた。
その時はよく分からなかったが、本作を観るとマジで危険な考えだと気づく。
アンパンマンとばいきんまんによる対立構造で調和が保たれているアンパンマンワールド。ばいきんまんは、アンパンマンとの戦闘で発生する産業廃棄物を宇宙転送装置で遥か遠い宇宙の彼方に送り込んでいた。しかし、それは悲劇を生む。拡散された産業廃棄物は宇宙の彼方にある流れ星を汚染し、地球だけでなくありとあらゆる星に《THE TOXIC STARS》として降り注がれた。《THE TOXIC STARS》の威力はアルマゲドン級。しかも、これらは放電物質故に撤去が困難だ。
このディザスター描写が非常に説得力があり、大人ですら恐怖を感じる。完全に侮っていた!よくよく考えれば、かつて人類は川や海に産業廃棄物を垂れ流しにして、多くの市民が犠牲となった。日本では水俣病やイタイイタイ病が社会問題となった。規模が大きすぎて一見大丈夫そうに見えるが、宇宙にゴミを飛ばすことは、いずれ市民の生活を脅かす可能性があるのだ。本作は、スケール感の見事なチューニングによって、大人も子供も、産業廃棄物による弊害がよく分かる仕組みになっているのだ。
さらにばいきんまんが、自らの愚かさに気づきアンパンマンに協力するまでのプロセスが非常に人間くさく、これまた魂を揺さぶられる。
たった60分でここまで描けるとはアンパンマン、恐るべしと思いました。
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